201437(金)

地縁。

先日 ハウスにビニールを張っていたら 救急車が走って行った

それから10分ほどして じぃちゃんのケータイが鳴った


近所で誰か運ばれたのかと思った


でも、じぃちゃんの会話は違った
「何?死んでる??」


それは ご近所に住むAさんの訃報を知らせる電話でした




そのおじさんは牛飼いで 市場での牛の売買をお願いしたり 色々お世話になってる方でした

1年半程前に 家で余ってる牛のエサのデントコーンを分けてあげたことがありました
おじさんが取りに来て 1人でエッサホイサとコンテナに入れながら トラックに積みこんでいました


とても忙しい時期だったので 私は外の仕事を終わらせ 家でごはん支度をしていました

夫は搾乳中
じぃちゃんは会議で出かけていました


子どもたちにごはんを食べさせていると 外から 緊迫した様子で私を名を呼ぶ 夫の声が聞こえました

急いで外に出ると
「Aさんがデントコーンの下敷きになってる。ちょっと手伝え」と


暗闇をライトで照らし どうしたらいいのかオロオロしていると 夫が崩れたデントコーンの表面をどかしながら 必死でおじさんを探していました

おじさんがどこに埋まってるかも分からない状況だったので すごく怖かったけど 私も降りてあちこちよけていると 夫が腕の一部を見つけた

どんな向きに埋まっているかも分からないので とにかくひたすらそこらへんのデントコーンを掻き分けると おじさんの顔が見えて来た


意識はなかった


泣きそうになるのをグッとこらえ 急いで救急車を呼んだ

夫は さらに体にのったデントコーンを懸命によけていた


電話口では 救急隊員から 住所や詳しい状況などに関して ゆっくりとした口調で質問されていた

実際は ゆっくりではなかったと思う
でも、気持ちが早る状況では とてもゆっくりに聞こえた
そんなこといいから 一刻も早く救急車に来てもらいたい。
そう思っていた

私があまりに焦っているからか
「今、救急車を向かわせてますから」と言ってくれた


色々聞かれたが 本人との関係を聞かれ すごく困ってしまった

親戚…ではない。
知り合い?
取引先…の人?
とにかく 近所に住む取引のある知り合いの人だった


そうこうしてるうちに 救急車が到着

状況説明や身元確認などの事務的なことがあった


名前は いつも年賀状を書いていたから 漢字もちゃんと分かりました
もちろん 住所も電話番号も

でも、生年月日などは分かりませんでした


一通り説明した後 付き添いの話になりました


Aさんには奥さんがいます
持病があり 時々低血糖で倒れてしまうような方です
でも お子さんはいませんでした


私は出来るだけ平静を装い Aさん宅に電話をかけました

おじさんがデントコーンの下敷きになった
でも 救急車も来てくれたから大丈夫だと

おばさんは 免許がない為 私が迎えに行って 病院まで送ることになりました


奥さんが 思ったよりは落ち着いていることに ホッと胸をなでおろし まだ1才過ぎのチビマロン④を車に乗せて おばさんを迎えに行きました


玄関先に出て来たおばさんは 電話で話した時とはうって変わって 今にも倒れそうでした

やっと歩いてる様子で ひどく動揺していました

腕を支えながら車に乗せると
「どうしよう…どうしよう…おじさん居なくなったら おばさん1人になっちゃう…どうしよう…どうしよう…」

「これ、おばさんの妹の連絡先。
来る前に電話してあるけど もしもの為に渡しておくから」

「あと、おばさん 低血糖になると倒れちゃうから もし倒れたら 口にコーラ流し込んで。そしたら大丈夫だから」


積み重なる不安に 私も倒れてしまいそうでした


運転しなきゃいけないし…
おばさん励まさなきゃいけないし…
もし倒れたちゃったら助けなきゃいけないし………

荷が重すぎるぅ。。。誰か助けて~(>_<)
と思いましたが 私がしっかりしなきゃ 話しになりませんorz


「大丈夫。おじさんちゃんと病院に行ったし 搬送先が決まったら すぐに連絡来ることになってるから。
私も一緒に行くから大丈夫だからね。」

半ば自分にも言い聞かせながら なんとか病院へ


時々チビマロン④に話し掛けたりと チビッコがいてくれたおかげで ずいぶんと気が楽でした


病院に着くと 色々な事務手続きが待っていました

おばさんは 動揺しすぎて書けない
というので 私が代筆しました

警察の事情聴取などを終え ホッと一息


おばさんが倒れた時用の炭酸飲料も購入し しばらく待っていました


1時間近く待っても 全然呼ばれず…
その時
「おばさん?」 と、こちらに話し掛けてくる方が…

「オレだよ、オレ。分かる?」


名前を告げられ 甥っ子一家と気づいたおばさんは パァーッと顔が明るくなりました

私の重かった肩の荷も スゥーッと軽くなったようでした


私の方も名前を告げ 甥っ子さんに経緯を説明しました

それからしばらくして ようやく名前が呼ばれ 救急病棟の家族控え室に案内されました


それから また少し待たされ 救急のお医者さんから 診断結果を聞きました

腕を骨折しているものの 命に別状はなく 意識もあるとのこと
ただ、数時間重いもの(デントコーン)の下敷きになっていた為 圧迫による筋肉等の損失が心配とのことで 入院による経過観察となりました

夜も11時を過ぎ チビマロン④が可哀想だったので あとは甥っ子さんにお願いし
何かあったら
と 甥っ子さんと連絡先の交換だけして帰宅しました


翌朝 病院から連絡が入り おじさんは退院出来ることになりました

甥っ子さんに連絡を取りましたが 離れた場所に住んでいて すぐには行けないから
と 私が退院のお迎えに行くことになりました


病院で会ったおじさんは 腕の三角巾が痛々しいものの めちゃめちゃ元気!!

昨日 倒れていた人とは思えませんでした

「あんなとこに何時までもいられるか!!
昨夜も帰るって頑張ったけどダメだった」
と、バリバリでしたww

そして。。。

「すまんかった。あんたたちが見つけてくれなかったら 今頃…チーンだった。世話になったな」
と 申し訳なさそうに言われたのが とても印象的でした

おばさんにも
「やっぱりいざとなったら 遠くの親戚より 近くの他人だね ホントにありがとう」と言われました


その後 リハビリも通いながら 恐るべき回復力で元気になったおじさん


牛が大好きで 長男ともよく色々な話しをして仲良くしてくれていました
すごく頑張っていただけに とても残念です




今回の事故の連絡を受け 現場に駆けつけた夫とじいちゃん

救急車は 空っぽで帰って行き 代わりにパトカーが現場に向かっていました

除雪作業中 ショベルに何か絡まったのか グルグル回ってるジョイントにズボンが巻き込まれ 何とか逃げられたものの エンジンを切りに行く前に力尽きて倒れ そのまま亡くなったとのことでした


私は そのままハウスのビニールをかける作業をしていたのですが 夫から連絡が入り
Aさんの親戚と連絡を取れないか
と聞かれました

デントコーン事故の時 たしかに連絡先を交換したのですが おじさんが 元気になってから うちの親戚じゃないから もう必要ないな
とデータを消去していました

あちこち探しましたが おばさんから預かった 手書きの妹さんの連絡先も 廃棄済みでした

夫に
『連絡先 見つからなかった』
と連絡すると 奥さんも入院してるハズなんだけど 転院先が分からないから 警察に頼んで家の中捜させてもらうしかないかな
と言ってました


諦めきれず ケータイに時々保存していたPIMデータを くまなくチェック

しばらく探すと やっと見つけました!!

時々 水没したりするからと マメにSDカードに入れていた中に 甥っ子さんの名前を見つけました


急いで連絡し 現場にいる夫のケータイに折り返してもらうようにお願いしました

突然のことでビックリしていましたが 私のことも覚えていてくれ デントコーン事故の退院の時に 先導しながら道案内をして おじさんチを教えていたので 電話の後 すぐに現場に駆けつけてくれたそうで 警察とも直接話してくれたそうです


その後も 葬儀の手配など 地元と親戚などで連絡取り合いながら なんとか終わらせることが 出来ました


こんなことになってしまい おばさんが どうしているか心配していましたが おばさんは痴呆が進んで 施設に入っていたため 葬儀には参列出来なかったそうです


とても悲しいことですが おばさんが一人で苦しみながら 毎晩泣いて過ごすよりも この方が良かったのかな
と思います


社会的問題になっていた無縁仏
その問題の ほんの一片を見たような気がします


こんな時 やっぱり『地域の力』って大きなと思いました






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 ABOUT
マシュマロン
家事に 子育てに お仕事に忙しい毎日ですが、日々のちょっとした出来事を綴って行きたいなぁ~と思います。
気づけば5年。。。最近はすっかり放置ですが 温かく見守って下さいね<(_ _*)>

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