マイとかち.jp

やまとなでこのページ
2016316(水) 08:11

時代の風雲児 行政書士

コメント×4
行政書士開業本を読んでいると、前半に必ずと言っていいほど出てくる話題が

“行政書士は食えない資格”か?という命題です。このサイトを覗いてくださっている方の中に「これから行政書士になろう」と考えている方がおられたら、

ぶっちゃけ気になるところではあると思います。



また私の知友人においては「なんだかなでこが行政書士やって話だけど、そのうち食い詰めて金の無心に来るんじゃないか」と心配されている方もいるでしょう。


「私は私なりに考えがあり一つよりも資格を抱き合わせる
ことによる世界観に魅力を感じました。」



確かに行政書士試験を受けるにあたりネットでいろいろ調べてみたり、某巨大掲示板の資格クラスタなんかを覗いてみると、「司法試験を経た弁護士でさえあぶれている時代なのに、法律資格の入門的な行政書士資格を持っていたって食っていけない」という論調はホントによくみかけます。

また、これだけインターネットが進化して、いろいろな手続がネットを介して簡単にできるようになってきたこの時代、手数料を支払って行政書士を使う意味があるのか?なんて意見も目にします。

私が退職の挨拶回りをしたときなんかも、「行政書士で食ってくのは大変でしょう」という印象をお持ちの方も多いようでした。

そのへんの声に対して、多くの開業本は「食える人は行政書士だって食えるし、食えない人は弁護士だって食えない」という、当たり前っちゃあ当たり前の自己責任論に落ち着いています。



さて、ではなでこは「行政書士は食えない資格」と言われることについてどう考えているか。この命題については今後長い付き合いになると思いますし、この投稿のように定期的に言葉にしていくつもりなんですけども。“開業時に私はこう考えていた”という記録として書いてみたいと思います。



「行政書士は食える商売か?」と聞かれれば半々だけど、「行政書士は食える資格か?」と聞かれたらYESです。



まず最初に排除しておきたいのは、ネット掲示板なんかで見られる、「行政書士の資格を取り、開業すれば(それだけで安泰というようなニュアンスで)食えるのか?」というレベルです。これは言うまでもなくNOです。このレベルの意識で資格取得し開業してもそりゃあ食えないでしょうし、

そういう人こそがその後に「行政書士なんてな、ありゃあ食えねぇ資格だ」と言ってそうです。

その上で、「行政書士は食える商売か?」を考えても正直半々です。私は司法試験を勉強し数ある資格を取り、行政書士も商売でやってたわけですが、たまたま人のご縁や前職のお取引先のご縁で見通しを立てています。その「たまたま要素」をナシにして考えたとしたら、けっこうシビアな賭けになってると思います。

でもポジティブな材料として


①会員名簿を眺めているとけっこうご年配の方が多いです。「世代交代」という要素を考えると、マーケット自体が収縮しているとしても、新人行政書士が仕事を得られる余地があるんじゃないかと思う点



これはもちろんアレな意味ではなくてですね。もちろんベテラン行政書士の先生方にはいつまでもお元気でご活躍頂きたいと思ってますし、いろいろご指導頂きたいとは思ってるんですけど。



②ネットの進化や制度の簡易化で「自分でできる案件」が増えた結果、行政書士の仕事がなくなるんじゃないかという不安については、言われているほど広範ではないと思う点




これは実体験からの肌感覚なんですけど、例えば古物商の許認可とか、会社設立とか、ネットで検索すればいくらでもノウハウは無料で公開されているし、さほど難しくない手続だったりするケースもあるんです。でもですね、

たぶんお客さんはその手続を単発案件として見てるんじゃなくて、その後に続く事業とか会社経営において、付き合っていける行政書士が見極められるなら、

数万円の手数料を浮かせるよりメリットを感じてるんじゃないか?って思うんです。



「行政書士は単発業務メインだから、顧問契約が取れる税理士や弁護士と違って安定収入が得づらい。だから食ってけない」という話もありますけど、案外そうではなくて、お客さんと併走するという行政書士の在り方も充分アリだと思ってます。

そういうお客さんと出会い、そういう関係になれるかどうか。そういう関係になりやすい業務分野を選択できるかどうかがポイントになってくると思います。

あと「行政書士は食える資格か?」という命題ですけど、あたりまえですが私は肯定派で



なぜならふつうの行政書士事務所をやるという以外にもいろいろ資格の使い道がありそうだからです。



よくあるパターンとしては「何かのコンサルタント」です。

うまく伝わるといいのですが、

行政書士事務所は、法律手続という『軸』の上に、建設許認可やら入管関係やら産廃処理やら「ヨコに広く展開しているサービス」だとするならば、

「何かのコンサルタント」は法律手続という『起点』を中心に、そこまでのノウハウ販売(セミナーや書籍など)から、その後の運用フォローや次展開へのサポートまで、特化したジャンルの「タテに深く展開していくサービス」だと言えると思うんです。

行政書士資格のおもしろいところは、「その起点を押さえられる」というところです。

私が過去にいろんな業界でやってきて、共通して感じたことがあるのは、「法律の改正があるとビジネスが動く」ということです。「風が吹けば桶屋が儲かる」なんて話がありますが、その“風”の正体が“法改正”であったりすることが時々あります。


行政書士は、その“風”の近くにいます。「その風向きを桶屋に教える」という商売もできれば、「桶屋になる方法をサポートする」という商売や、「その風向きを読んで自分が先んじて桶屋になる」なんて可能性もあります。


というわけで私は「行政書士事務所」という事業形態にも、行政書士資格の価値にも可能性を感じています。

でも「行政書士は食えない資格」という風潮は歓迎です。



こういうフィルタがあると、単に儲け主義だったり安直な動機だったりする人が入ってこない業界であるように思えるからです。

だからそのフィルタの向こう側には、そういう風潮を逆手に取って儲けるような商才豊かな人とか、食えない資格でもなお社会貢献していこうという志の高い人がいるんだろうなぁと楽しみになったりもするのです。
 コメント(4件) 
コメント欄はユーザー登録者のみに公開されています
2015-12-26から80,449hit(今日:5/昨日:1)
やまとなでこのページ
マイとかち.jp