広い意味でのパソコン周辺機器として、「UPS」の名称を聞いたことがあるだろうか。UPSとは「Uninterruptible Power Supply」の通称で、日本語に訳せば「無停電電源装置」。二次電池(充電池)を内蔵し、外部からの電力供給が途絶えた場合に一定時間、決められた出力の電力供給が可能となる。つまり、UPSさえ設置しておけば、停電や落雷などでコンセントからの電源が突然シャットダウンされても、パソコンの電源を安全に落とせるわけだ。作業中のデータが消滅することもない、いわば“安全装置”といえ、東日本大震災の直後には市場から製品が姿を消すほど需要を高めたという。
UPSが最近、不安定な天候や落雷の多さから再び脚光を浴びている。従来は法人用のイメージも強かった製品だが、1万5000円前後から購入できるロースペックモデルが各社からラインナップされ、個人ユーザー&ホームオフィス用途に沿った製品も増えてきた。例えば、パソコン1台+モニタの場合、消費電力は概ね150W前後。UPSの出力容量はその1.5倍を目処に、200W程度のモデルを選択すればいいだろう。パソコンが2台であれば、500W程度のUPS出力容量が必要となる。メーカーが保証するバックアップ時間は5~10分と長くないが、電源が10分保ってくれれば、大抵の作業は無事に終えられるはず。実際には30分程度までOKなケースも多いため、個人&ホームオフィス用途なら十分だ。
UPSには「矩形波出力モデル」と「正弦波出力モデル」の2種類があることも覚えておきたい。詳しい技術解説は省略するが、パソコン電源の安定利用には正弦波出力モデルを選ぶのが正解。安価な製品には矩形波出力モデルも多いので気を付けよう。パソコンとの通信・制御機能を持つ製品や、停電時のパソコン自動シャットダウン設定が可能な製品などもあるので、用途によって選択肢も広がるはずだ。
電気の“安全神話”が崩れつつある昨今、UPSへの注目度は、より大きくなっていくに違いない。個人ユースでは贅沢な安全装置ともいえるが、“転ばぬ先の杖”として、皆さんも一考されてはいがだろうか。
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