最近入手した北海道の山・冒険の本の2冊をこの週末に読んだ。左は野村良太「幸せを背負って」(山と渓谷社Y1,760) 右は福澤卓也「旅の記憶」(リーブル出版 私家本)だ。自分としては両氏とも多少なりとも縁のある人物だ。
野村氏は2年前の春 積雪期単独北海道分水嶺縦断を成し遂げて NHKの正月特番で紹介されたり 植村直己冒険賞を受けたりしたのでご記憶の方も多いだろう。
もちろん写真は随所だし 縦断地図も含まれている。
第一部は計画・準備で 著者はこれが重要と考えているためか かなりの分量を占める。第二部の単独縦断の記録からなる。が 自分としてはプロローグとエピローグにより感銘を受けた。全体にわたり文章は平易で明快。将来 この本を読んだ若者が触発されて次の快挙を成し遂げるのではと感じる。
一方 二冊目は1994年秋にヒマラヤ・ミニヤコンカで遭難した福澤氏の遺稿集だ。
北大ワンゲル時代・パタゴニア遠征・ミニアコンカ遠征などの記事がある。
併せて友人・家族からの多くの寄稿は胸を打つ。また福澤氏は北大低温科学研究所の雪氷・雪崩の研究者でもあり 研究業績もまとめられていた。写真とともに随所にある氏の散文は美しく 文才を感じる。もし 生還していたならば その後に多数の研究や著書が世に出ていただろう。佳人薄命とはいえ 残念に思う。
野村氏も福澤氏も日高山脈を頻繁に登攀している。その経験が彼らのその後に繋がって行ったものと思う。