2015年2月25日(水) 18:21
なぜ小鳥はなくか
「星野くん?」
「アカイケくんでしょ?」
「そういえば久々ですね。ここでは。」
「塩昆布食べる?」
「星野君のヒント」 田村 隆一
「なぜ小鳥はなくか」
プレス・クラブのバーで
星野君がぼくにあるアメリカ人の詩を紹介した
「なぜ人間は歩くのか これが次の行だ」
われわれはビールを飲み
チーズバーグをたべた
コーナーのテーブルでは
初老のイギリス人がパイプに火をつけ
夫人は神と悪魔の小説に夢中になっていた
九月も二十日すぎると
この信仰のない時代の夜もすっかり秋のものだ
ほそいアスファルトの路をわれわれは黙って歩き
東京駅でわかれた
「なぜ小鳥はなくか」
ふかい闇のなかでぼくは夢からさめた
非常に高いところから落ちてくるものに
感動したのだ
そしてまた夢のなかへ「次の行」へ
ぼくは入っていった
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