二階も静かになり
もう二人とも寝たのであろう
寝付けない俺は 深夜のバラエティーをぼんやり観ていた
1時を回った頃だろうか
階段をおりてくる音がした
楓だった。
「どうしたの楓ちゃん? 眠れないの?」と、聞くと
「おじ様 ごめんなさい。おじ様に聞きたい事があって」
パジャマ姿の楓が 答えた。
俺は 胸元から目をそらし
「ん、なんだい?」
「おじ様、南洋銀行にお勤めですよね?」と、楓が
「あ、あぁ そうだけど。」
「私、来春から南洋銀行に入行するんです。」
「えっ、そうなんだ」少し驚いた
「じゃあ窓口勤務だ。」そう聞くと
「ハイ、お世話になりますので、宜しくお願いします。」と、答えた
「いや~ 知らなかったよ!じゃ、先月面接受けたんだ。」
「ハイ、先週通知が来て 母も喜んでました。」と、答えたので
「失礼だけど お父さんは?」
「父は 私が小2の時病気で・・・」 楓の顔が曇った
「あ、ごめんね 聞いてしまって・・」
自分の銀行に入行すると聞いて つい詮索してしまった。
亜由美と二人で居る時には 何処にでもいる高校生と、思っていたが
時折見せる寂しげな表情は そんな所からきているのか・・
「そうか、おめでとう。わからない事があったら何でも聞きに来なさい。」
そう言うと
「ハイ、ありがとうございます♪」明るい顔になった
「さぁ もう遅いから寝なさい。」
「ハイ♪おやすみなさい。」そう言って二階に上がった
床に着いてからも 中々眠れなかった 楓が俺の部下になる
(美人のお酌で美味しいでしょ) (楓 大きい)
亜由美の言った言葉 頭の中で グルグルまわっていて
その度に (娘の同級生だぞ!)自分を戒めた
いつまでも眠れなかった
8時過ぎだった 起きて居間に行くと
エプロン姿の楓が 目玉焼きを作っていた。
「おはよう! アレ 亜由美は?」楓に聞くと
「お早うございます。亜由はまだ寝てます。」と答え
「今、コーヒー入れますね♪」と 微笑んだ
「しょうがないヤツだなぁ~」と、席に着くと
トーストと目玉焼きと入れたてのコーヒーに 心が和んだ
エプロン姿が初々しく つい 新婚時代の妻と錯覚した。
「おは よ~~。」亜由美が 目を擦りながら起きてきた
「わぁ~凄い 楓!! 美味しそう~♪」そう言って席に着いた
「いつまで寝てるんだ!全部楓ちゃんが作ってくれたぞ”!」
そう言うと、
ニヤッとした顔で
「何か、パパと楓、新婚さんみたい~~」亜由美が茶化すと
「ブッ!!」俺は飲んでるコーヒーを 吹き出した。
「パ~パ、汚~い」亜由美が叫んだ。
楓が すかさずタオルを持ってきた
本当に良く気が利く娘だ 亜由美とは大違いだ・・・
二人は、昼前に買い物に出かけ 俺は一人になった。
つづく、
今日のチョロQ。トヨタ・アルテッツア
ネッツの販促品です。
FRで17インチ標準が驚きでした。
今や標準の ルーフアンテナも この頃がはしりでした。