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とどこの海中秘書室
とどこ

2007111(木) 10:35

クリスマススト-リ-ズ 3

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「天体観測」
コンコン。私は男チ-ムの部屋をノックした。
「はいっ」
「私みなみだけど麻美知らない?」
時計は夜の9時半を回っている。ドアが開いて良太郎が出てきた。
「博と散歩だよ。」私は目を丸くさせた。
「みなみは知らないんだ?あいつら出来ているぞ。
二人でくるのが気が引けたらしいから俺達も誘ったらしい」
「げっ知らなかった」私達は大学の同じ学部。私と麻美。博と良太郎。
たまたま今年は彼氏彼女が居ないっていうんで、クリスマスに
温泉で一泊していた。それが麻美の作戦だったとは。
「なんかさめちゃったな」
「入れば?博はしばらく戻ってこないよ。」
「でも」
「なにもしないよ。と言っても少し警戒モ-ド?」
良太郎はニヤリと笑った。私は良太郎に言われて部屋に入った。
「なんか飲む?」
「あとでお風呂いくからウ-ロン茶でいい」
良太郎はウ-ロン茶を冷蔵庫から渡してくれた。
テレビでさんまがバカ笑いをしている。
「麻美がねぇ。ここに来るとき妙なこと言っていたから引っかかったのよね」
「へぇどんなこと?」
「一晩でカップルになることもありうるよね。スリリングなゲ-ムみたいって」
「そりぁ麻美自分のこと言いたかったんでしょ」
窓を少し開いて良太郎は空を見た。
「いい星だ。星に興味ある?」
「ああ良太郎のお父さんって気象関係の仕事だっけ」
私はとなりに立って空を見上げた。
「少しぐらいは星もくわしいけどね」
「オリオン座ぐらいしかわからないなあ」
「あれが冬ソナのポラリス」
指の先っぽに輝く星がわかった。
「僕は君のことをアイシテイル。ぎゃはは」
「ヨンさまの真似うまいね。」
「気象予報士取ろうと思っているんだ。ハ-ドル高いけどね」
「お天気お兄さんになるの?」
「どうかな。俺そういうの苦手だしさ。」
「いっしょに露天行かない?」
「いっしょに入るの?わっうれしいなオレ」
「別に決まっているでしょ」なんか気がぬけちゃって
ふと良太郎と冬の空気の中で星が見たくなってしまった。
露天風呂は誰もいなかった。男風呂の隣もいなさそうだった。
そうっと話かけてみる。「本当にきれいだよねぇ」
「冬の星は夏より空気が澄んでいるからはるかにきれいだよ」
お湯がちゃぽんちゃぽんと聞こえる。
「静かなクリスマスだね」
「メリ-クリスマス」水面にすっと響いてくる良太郎の声。
「ねぇお願いがあるんだけど」
「なあに?」
「手をつないで欲しいんだ」私はきょとんとした。
男風呂と女風呂のついたての境は少しだけ乗り出せばかすかに
手が届くスペ-スがあった。私は胸にタオルを巻いてゆっくり
手をのばす。大きい良太郎の手が重なってきた。
少しどきどきしている・・・
満天の星空から雪がちらつきはじめた。
「離したくないほど気持ちいいな。俺達さぁ恋に落ちるのかな」
「さあどうかな?」
ぷっと吹いて私達は笑っていた。





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