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とどこの海中秘書室
2008123(水) 12:00

ギフトシーズン4 「かぐや姫スコープ」

コメント
自分の仕事が、コンピューターのソフト開発という
仕事がら、俊之よりも先輩なのにまだまだ独身が
多いのが、婚期をだんだん遠のかせていた。

別にこのままコンピューターの妄想のオタクの・・・
世界にバーチャルにうもれてもかまわないいんだけど・・

「寂しすぎない~?」(T_T)/~~~。

「別に~。」そんなもんか・・・。

今年もさみしいクリスマスがやってくる。
「時空屋」その名前にひかれて会社帰りに
その店のドアを開いてみた。
「いらっしゃいませ」
背の高い、俊之と同じぐらいのきれいな顔だちの男が
白黒の猫を抱いていた。
こんな埃っぽい(言い方が悪いが・・・)
似合わないなあ・・この人。
「こんなお店あったんですね」
「もう長いんですが、マニアなお客さんしか来なくて・・・」
彼はにが笑いした。俊之は店内をぐるぐる回る。
古タンスや茶の湯の釜とか・・アンティークの食器。
その中に緑色の万年筆みたいなものが目に止まった。
「これはなんですか・・・。」
「それはカレイドスコープ。万華鏡です。」
「のぞいていいですか・・」
「どうぞ」
覗くと微妙な光のパレードが見える。
きらきらした模様は、しばしみとれる。
「それは聞いた話ですが、満月の夜に覗くと
不思議なことが起こるみたいですよ。
それも独身の方に限りますが。あと強い願いがないと
その不思議なことは起きないそうです。」
「ふ~ん。」なんとなくその言葉にひかれ
万華鏡を買ってしまった。
「ただし、不思議なことは一回だけのようですよ。
あとは普通の万華鏡で、楽しんでくださいね」

「一回だけ・・・っ。なんだろう。」

今日は満月だ。彼はいつものように
風呂あがりにビールを飲んでいた。
窓を開けて、月を見ると神々しいばかりに
輝いていた。
「この次まで、待とうかな・・」
「えいっ。」
俊之は、思いきってのぞいてみた。
するとそこには月が見えた。
(えっ・・)

「いいお月さんですね」
俺しかいないのに。
そこには体育座りをした見たことがない
ロングヘアーの美人がこちらを見ていた。


「で・・なにがあったんですか」
店主は笑いながら俊之はに聞いてきた。
「言えませんよ」
「それは願いに近いものだったのかな・・」
「あれは別名かぐや姫スコープっていうんです。」
「かぐや姫スコープ?」

満月の夜に、理想の異性が一夜だけ現れる。

でも心が、やましい、汚い人には現れない。

そしてなによりも願いを思い続けて

毎日を生活している人・・・。

「でもおまけがあるんですよ・・・」
「おまけ・・?」
「活かすもダメにするのも。あなたしだいです」

数日後。俊之の職場にあのかぐや姫が
やってきた。
現実の世界に・・(うそ~)

職場のオタク先輩はまるで
メイドカフェのおねーちゃん見るみたいに
彼女を見ていた。
「あの。有島さんって・・いらっしゃいますか?」
「僕ですが・・」
「先日お財布を届けていただいた・・」
「ああ~はいはい」
「なかなかここに来るまで、迷っちゃって。」

あの夜と同じ目で俺を見ていた。


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