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とどこの海中秘書室
2007116(火) 20:40

クリスマススト-リ-ズ 5

コメント×17

「朝日が目にしみる」

「あさっては千歳だから。翌日は休みで東京には戻らないよ」
「じゃあ千歳で待っているね。」そう言って僕は国際電話を切った。
彼女が飛んでいると男も振りまわされる。それは彼女と付き合うことに
なってからは絶対条件。彼女は客室乗務員。千歳には昼過ぎにハワイから
戻ってくる。僕にしてみれば、日常的に外国に行ってうらやましいなぁ
なんて思うけど。彼女に聞くと実際はかなり精神的にも肉体的にも
ハ-ドらしい。たまたま今年は北海道で待ち合わせすることになった僕らは
偶然にもクリスマスイブにデ-トすることになった。イベントに彼女が
いることなんて初めてじゃないだろうか。
アメリカ、オ-ストラリア、ロ-マ、イタリア・・・今年行っただけでも
世界一周はしていそうだ。彼女とは合コンでもあやしい出会い系サイトでもなく
高校からの同級生。なんとなく友達が続くうちに恋人になった。
僕はいたって普通のサラリ-マン。今は札幌の営業所にいる。
彼女のように飛んでいるわけではないから3年に1度ぐらい移転するぐらい
だけど・・・・・・。
僕のベットで朝日に映る彼女の背中は少し焼けていた。
裸にフリ-スの毛布をくるくる巻いて僕を見ている。
「焼けた?冬だからやけにめだつよ」
「ずっとリゾ-トばかりだったから。」
「ハワイでしょ。グアムでしょ。ケアンズでしょ・・・」
「ボトルで買った日焼け止めなんかすぐ空っぽになっちゃった」
外は雪が降っていた。大通り公園のイルミネ-ションも今夜はかなり
きれいだろう。「なんかさぁ真っ白な雪の中にカラスみたいね」
「どうする・・外に食べにいく?なんか作ろうか」
「なにかって。独身男の冷蔵庫にはなにがあるの?」
「ふつうの朝食程度の材料はあるなあ~」フリ-スの毛布のまま
彼女と僕は冷蔵庫に顔を突っ込んでのぞく。
「ふむふむ」くすくす彼女は笑った。
「じゃあいっしょに作るか?」
彼女の髪はシャンプ-匂いはするんだけど不思議な匂いがした。
飛行機の匂い、エアポ-トの匂いかな?少なくとも日本の会社に勤めている
女の子の香りとはちがっていた。着替えた僕達は
軽い朝食を手際よく作っていく。
「さすがキャビンアテンダントだ」
「機内じゃ調理なんてしないわよ。サ-ビスはするけどね」
「いやその手際よさは。すっかり慣れているような感じ。」
「そう?かっこいい?」
「本物のスッチ-みたい」
「本物だってば」
「本当にクリスマスなんて私達にはなかったもんね」
僕は唐突に彼女にこんな質問をぶつけてみた。
「君はさ、たとえば新婚旅行に行くんだったらどこにいきたい?」
「なあに?それって。結婚しようとか遠まわしに言っているとか」
僕はコ-ヒ-をふきだしそうになった。
「いや別に。君は世界中回っているからどこか特定の行きたいところとか
あるのかなと思って。」
彼女は僕を見て笑った。「そうだねえ。そろそろ仕事じゃない旅もいいかも」
すこしあせった僕は「そっそう、別に仕事辞めろって言っているわけじゃ
ないんだ。君は仕事に情熱もっているし。そんな頭の硬いことを言うつもりは」
「ふんふん。でもちゃんとプロポ-ズしてね。楽しみにしているから」
「さっ出かけようよ。のんびりしていたらせっかくのクリスマスも終わっちゃう
クリスマスプレゼント買ってね。何がいいかなぁ~」
「パルコにする?大丸?」きゃっきゃっはしゃいでいた。
(やれやれ・・・まあいいか)

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