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とどこの海中秘書室
2007129(日) 20:45

クリスマススト-リ-ズ  9

コメント×22

「甘栗売り」

繁華街で、俺は栗を売っていた。
(今日はイブだしなぁ。売れ行きもいまいちだな)
「わ~ん。」煙草をふかしながらいきなり湿っぽくなる。
「びっくりした」
店の脇で女の子というよりギャルが泣いていた。
茶パツにミニのレザ-パンツになんと紫のタイツ。そそるぜぇ~
おっと「ねえちゃん。別の所で泣いてくんない?」
「商売あがったりなんだよ」
「だってだって。彼氏と今別れたばかりなのよ~」
突き刺さるような声に俺は耳を塞いだ。
俺は店の奥から事務用のスチ-ルイスを出してきた。
「じゃあこれに座れ。」
「栗たべっか?」
彼女はうるんだ・・いや・真っ赤になった瞳で俺を見る。
「ちょっと待ってれ」
ガラガラ回る機械の中から新聞紙に何個か炒りたての栗を
つつんで渡した。
「あつっ」
「熱いってば」
「そりゃ出来たて売りだもん。熱いに決まってる」
「兄ちゃん、ソリコミ怖いね」
「うっせ-よ」
「いまどきソリコミは流行らないよ。ぉぉぉ」
「俺は17の時からコレしかしたことないんだ」
「可愛そうだよな。クリスマスイブに振られるなんてサ」
「兄ちゃんは彼女いんの?」
「いたらこんな所にはいね-よ」
彼女はふふふっと笑う。可愛いじゃね-か。
「笑ったね」
俺は、眉をきゅっと上げた。
「彼氏はエッチがうまかったのか?優しかったのか?」
「両方。」二刀流かよぉぉぉぉ。どんなのやったんだよぉぉぉ。
「そりゃ離れられないわな」
「別の女ができたって言われた」
「私のこと重かったんじゃないかな」
俺は缶コ-ヒ-を差し出した。
「飲めッ。熱いぞ」
「ありがと」さっきから雪が降りっぱなしだ。
通り過ぎる連中もどこかおしゃれで、笑いあっている。
「代わりにだっこしてやるか?」
「ばかっ。今会った女にそんなこと言ってどうするのよ」
「私そんなに軽くないよ」
「ああごめん。ごめんな。」
そして彼女は俺の店先でしばらく泣いていた。
「兄ちゃんありがと」
「また悲しくなったらくるね」
「来なくていいっちゅうの・・・」
「おいっ」立ち去ろうとする彼女を引き止めた。
「デ-トするべ」
「いいよ。でももう少しお話してからね」
彼女は大きく手を振って煙草をくわえている俺を見ていた。
「飲みすぎんなよぉぉぉ。ヤケはだめだからなあ」
人ごみに消える瞬間、彼女は大きくマルを手で作る。
「馬鹿な女・・・」
俺はくくくっと笑った。かわええ~。かわええなぁ。

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