2008年3月9日(日)
花時計~フリージア~

土曜日に学校に忘れ物が、あったので取りに行った。
(うららかな早春の日差し。眠たいな。腹へった。
もう卒業式までは学校に来ることもないな。)
俺はバスの一番後ろの席に座り
まだ、雪がこんもり残っている風景を眺めていた。
(あっこの匂い。)ふと前の席を見ると
ロングヘアの女の子が、大きい花束。
紙に包んであるが、おそらく・・きっとフリージアだ。
黄色い花。香りに特徴がある。
俺の家は華道家で、おやじが昔から家にいた・・
一応師範ぐらいまでは、たたきこまれたが。
あまり興味もなかったので、おやじのあとは
兄貴が継いでいる。
そんなわけで、家には年中花がさきみだれていた。
季節折々に咲く、花の名前ぐらいは
女の子よりは、はるかに知っているのではないだろうか。
高校の同級生も俺の素性なんてあまり話さないから
あまり知られずに過ごしてきた。
前の女の子が、俺と同じバス停で降りた。
バスが行って歩き出すとその子が声をかけてきた。
「あの・・」
振り返ると背の高い、俺と同じぐらい?
かわいい子だった。
「はい・・」
「都築悠秋(つづきゆうしゅう)先生のお宅って
ご存じでしょうか?」
(そりゃあ~うちだ)
「俺の家だけど・・」
「もし、よければ、連れて行ってくれませんか?」
(新しいお弟子さんかな)
まあほどんとが、年齢が上の人ばかりだけど。
二人はだまって、サクサク雪道を歩いた。
「花持ってあげようか?」
「いいです。大切なものだから」
「おやじに会いにきたの?」
「いえ。母が都合で来れなくて。頼まれた花を持ってきたんです」
「フリージア?」
「よくわかりますね?おうちの方なら分かるか。」
彼女はクスクス笑った。
「学校の帰り?なんですか?」
俺の制服を指さした。
「今年卒業でさ・・もう登校しなくていいから。
忘れ物取りに行ったの」
「そうなんですか」
「私も卒業なんです」
「えっ。俺と同じ年?」
びっくりした表情で、俺の顔を見た。
「そんな風にみえるんですね。」
「今年中学生になります。」
俺は足を止めた。
「今なんて、言ったの?」
「ですから、中学生に。」頭にロケットが飛んで行く・・
「変なこと言いましたか・・」
「だって、待ってよ・・待って。身長だって高いし。
顔だって、小学生にはみえないぞ・・」
彼女は笑って俺を見た。
「はい・あなたとおなじく卒業です。」
「まあ・・卒業ね・・・」
俺は玄関につくとおふくろを呼んだ。
「おふくろお客だよ~」
奥からのんきな声でおふくろがでてきた。
「はいはい・・あら」
「浅野真由美の娘なんですけど・・」
「あら桃ちゃん。大きくなって。いらっしゃい。」
「よくまちがわずに・・あがって。お昼の支度しているから」
「ほら、高志、居間に通して。」
おふくろは大きいフリージアの花束の包みを
かかえて台所に戻っていった。
彼女を居間に通して、俺はグラスとウーロン茶の
ボトルを取出した。
「今の小学生って、あんなに大人なのかよ。知り合い?」
「口調が、おやじ臭い~」
「小さい頃は一度来たことあるのよ・・桃ちゃん」
「えっ。」
「やっぱり、ひとりぐらい女の子が欲しかったわね。」
「まあまあ・・お昼もうじき、できるから・・」
(相手は小学生だぞ)
居間に入ると、桃ちゃんがきちんと正座していた。
俺はブレザーを脱いで、壁にかかっているハンガーにとりあえず掛けた。
「足くずしたら。いいよ。」
「はい。お茶。」
(顔ちっちゃい~)
「いただきます~」
「学校の男子にもてるでしょ。」
「そんなことないですよ。私よりかわいい子いるし。」
「みんなこんななの?」
(先生が困るだろうな。俺だったら一日見ているぞ)
昼飯食っていても、お見合いしているみたいだった。
彼女が、帰りのバスまで待っていると
「卒業したらどうするんですか?」と聞いてきた。
俺は地元の大学に行く話をした。
バスで彼女を見送るとにこにこ、手を振った。
桃の携帯が鳴る。
「はい。あ~果歩ちん。今ね、年上の男の子と
じゃれあって、いたの。ふふ。おもしろかったよ。
私、清純演じちゃった。」
高志のことをサカナにされているとは
思わず・・・。
とうの高志は、ニタツいていた。
(うららかな早春の日差し。眠たいな。腹へった。
もう卒業式までは学校に来ることもないな。)
俺はバスの一番後ろの席に座り
まだ、雪がこんもり残っている風景を眺めていた。
(あっこの匂い。)ふと前の席を見ると
ロングヘアの女の子が、大きい花束。
紙に包んであるが、おそらく・・きっとフリージアだ。
黄色い花。香りに特徴がある。
俺の家は華道家で、おやじが昔から家にいた・・
一応師範ぐらいまでは、たたきこまれたが。
あまり興味もなかったので、おやじのあとは
兄貴が継いでいる。
そんなわけで、家には年中花がさきみだれていた。
季節折々に咲く、花の名前ぐらいは
女の子よりは、はるかに知っているのではないだろうか。
高校の同級生も俺の素性なんてあまり話さないから
あまり知られずに過ごしてきた。
前の女の子が、俺と同じバス停で降りた。
バスが行って歩き出すとその子が声をかけてきた。
「あの・・」
振り返ると背の高い、俺と同じぐらい?
かわいい子だった。
「はい・・」
「都築悠秋(つづきゆうしゅう)先生のお宅って
ご存じでしょうか?」
(そりゃあ~うちだ)
「俺の家だけど・・」
「もし、よければ、連れて行ってくれませんか?」
(新しいお弟子さんかな)
まあほどんとが、年齢が上の人ばかりだけど。
二人はだまって、サクサク雪道を歩いた。
「花持ってあげようか?」
「いいです。大切なものだから」
「おやじに会いにきたの?」
「いえ。母が都合で来れなくて。頼まれた花を持ってきたんです」
「フリージア?」
「よくわかりますね?おうちの方なら分かるか。」
彼女はクスクス笑った。
「学校の帰り?なんですか?」
俺の制服を指さした。
「今年卒業でさ・・もう登校しなくていいから。
忘れ物取りに行ったの」
「そうなんですか」
「私も卒業なんです」
「えっ。俺と同じ年?」
びっくりした表情で、俺の顔を見た。
「そんな風にみえるんですね。」
「今年中学生になります。」
俺は足を止めた。
「今なんて、言ったの?」
「ですから、中学生に。」頭にロケットが飛んで行く・・
「変なこと言いましたか・・」
「だって、待ってよ・・待って。身長だって高いし。
顔だって、小学生にはみえないぞ・・」
彼女は笑って俺を見た。
「はい・あなたとおなじく卒業です。」
「まあ・・卒業ね・・・」
俺は玄関につくとおふくろを呼んだ。
「おふくろお客だよ~」
奥からのんきな声でおふくろがでてきた。
「はいはい・・あら」
「浅野真由美の娘なんですけど・・」
「あら桃ちゃん。大きくなって。いらっしゃい。」
「よくまちがわずに・・あがって。お昼の支度しているから」
「ほら、高志、居間に通して。」
おふくろは大きいフリージアの花束の包みを
かかえて台所に戻っていった。
彼女を居間に通して、俺はグラスとウーロン茶の
ボトルを取出した。
「今の小学生って、あんなに大人なのかよ。知り合い?」
「口調が、おやじ臭い~」
「小さい頃は一度来たことあるのよ・・桃ちゃん」
「えっ。」
「やっぱり、ひとりぐらい女の子が欲しかったわね。」
「まあまあ・・お昼もうじき、できるから・・」
(相手は小学生だぞ)
居間に入ると、桃ちゃんがきちんと正座していた。
俺はブレザーを脱いで、壁にかかっているハンガーにとりあえず掛けた。
「足くずしたら。いいよ。」
「はい。お茶。」
(顔ちっちゃい~)
「いただきます~」
「学校の男子にもてるでしょ。」
「そんなことないですよ。私よりかわいい子いるし。」
「みんなこんななの?」
(先生が困るだろうな。俺だったら一日見ているぞ)
昼飯食っていても、お見合いしているみたいだった。
彼女が、帰りのバスまで待っていると
「卒業したらどうするんですか?」と聞いてきた。
俺は地元の大学に行く話をした。
バスで彼女を見送るとにこにこ、手を振った。
桃の携帯が鳴る。
「はい。あ~果歩ちん。今ね、年上の男の子と
じゃれあって、いたの。ふふ。おもしろかったよ。
私、清純演じちゃった。」
高志のことをサカナにされているとは
思わず・・・。
とうの高志は、ニタツいていた。
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