[この日記は昔書いたものです]
と言っても3年間で3、4回しか喋った事がないし、卒業式以降会ってもなくてもちろん連絡先も知らなかった。
だから連絡が来たときは
「3万円って痛いなぁ」が最初に頭によぎった。
「あ、でもそれは結婚式か!なら行こうか」
ぐらいだった。
狼一号
話した事はほとんどないけど卒業してからたまたま担任の先生と会いコーヒーをご馳走になった時に聞いた『彼』の話は覚えていた。
車掌に成りたかった事。
成績は良かったが色盲が分かり車掌になれなかった事。
私がこの事を知っていると『彼』は知らないだろう
その日は知り合いの全然楽しくない(なかった)イベントに行き、帰りにお通夜に向かった。
始まるギリギリまで連絡をくれた友達を待ったが到着しているのに遅れるのはと思い先に行った
名前と住所を書き、見渡すと「香典は控えます」と説明の紙。
遺影を見た瞬間、涙が止まらなかった
確かにそこには『彼』がいた
3年間同じ教室で学び、同じ実習を受け、レポートを書き、様々なことを一緒に経験した
かつてのクラスメイトの顔がそこにあった
数少ない会話の中の一つがふざける俺をなだめるように名前を呼びながら「おい～」とつっこんでくれた一言だったとハッキリと思い出した
10年以上会っていない私が一目見て分かるという事はかなり古い写真だと思う
悲しいに理由などなかった
一際大きな声で泣いている女性はもしかしたら彼女だったのかも知れない
顔を見て私の印象と一致しなかったのはきちんとあいつは老けていて、やはり遺影の写真は若かったときの物だとわかった
喪主は父親が務めていた
無念だろうと思う
先に息子を見送らなければならないという事は。
最後の挨拶で
特別、息子に期待はしていなかったが健康で長生きをして欲しかった事
三体牛鞭
目立たない子なので名前だけでも目立つようにと目立つ漢字で珍しい読み方にした事
小さい頃から電車が好きで先頭車両に乗って車掌さんを見ていた事
を話していた
泣きながら息子を大馬鹿者ですと話す姿は本当に本当に悲しかった