20181021(日)

おびZooトークカフェ(10.21)開催しました


タイトルのとおり、おびZooトークカフェを開催しました。
テーマは、「おじいちゃんヤギから考える高齢動物のケア」です。
〈文字数制限につきタイトルにテーマが入りませんでした〉

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7月に亡くなった、ピグミーヤギのぴっくーのケアについてのお話でした。


内容を掘り下げると、起立不能になったぴっくーにオムツをはかせ毎日2回の取替えを行ったり、エサの草を細かく切る、好物の野菜と果物を多く与えるなど、手間暇かけてあげていた記録の話でした。




話の中で印象に残っていた話者の考え方が2つほどあったので、それについて。


ひとつめに、動物の飼育には、QOL(Quolity of Life)(生活の質)を上げることが重要だという考え。


改めて言うまでもなく、全ての飼育員が備えていなければならない考え方ですね。

この考え方がなければ、エンリッチメントという言葉は生まれていないでしょう。



話者の西山さんは発表の中で、最期までぴっくーがぴっくーらしく生き、終わりを迎えさせてあげたいと主張していました。

発表の最後には、ぴっくーが望んでいたことは「好きなものをたくさん食べること」だと思う、と。



結果的に、2年前に起立不能で入院したぴっくーは、100日後、起立可能になり無事退院しました。奇跡の復活、とか言われていたような記憶があります。

発表スライドでは3枚ほどで紹介されていましたが、100日間、毎日おむつを代え、手渡しで給餌するなどの努力の甲斐あってのものです。

その間も好きなものをたくさん食べていました。それがぴっくーの活力になったであろうことは想像に難くありません。



それから2年、好きなものをたくさん食べて、今年、ぴっくーは永眠しました。

きっと、幸福のうちに逝けたことでしょう。





もうひとつ、西山さんはこう言っています。



動物園は命の始まりから終わりが見られる場所
命が終わるときに命の素晴らしさや尊さ、儚さが一番伝わる。


と。


私も常々考えていることでした。



私たち飼育員は、何度も動物の死に立ち会っています。

命が尽きるその瞬間も見ています。

前述したQOLを追う姿勢は、ひとえに動物が好きだから、より良く生きて欲しいから取るものです。

そうして飼育してきた動物が死ぬのは、血を分けていなくても辛く、悲しいものがあります。



死は普遍的でありながら本能的に忌避される事象です。

死を正面から受け止めることは、難しく、しかし、それについて考えることこそが重要だと思います。



死があるから生が際立つ、とどこかで聞いたことがあります。

改めて、生きていることは素晴らしいと、そして、無駄に生きることなく、「善く」生きなくては、と思い直すところです。





担当の想いが伝わってくるとても良いトークカフェでした。

西山さん、そしてご来場いただいた皆様、ありがとうございました。


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