2020320(金)

さすが経済学!

ジョセフ・E・スティグリッツ『プログレッシブ キャピタリズム』東洋経済新報社2020年

 アメリカ人はむしろ、他人に身を捧げる人を称賛する。自分の子には、自分のことしか考えない利己的な人間ではなく、他人を気づかう優しい人間になってほしいと願う。つまり私たちは、経済学者が言う「ホモ・エコノミクス」(絶えず自己満足を追い求める利己的な人間)とはまるで違う、もっと複雑な存在なのである。だが、こうした称賛すべき傾向を認め、それを模範として政策に組み込む努力を怠っていると、卑しい傾向(強欲、他人の幸福への無関心)がそのすき間を埋めてしまう。するとアメリカという船は、針路を変え、暗黒の海域へと滑り込んでいく。そこでは、弱者が置き去りにされ、ルールを守らない者が得をし、規制者が規制されるべき人々に取り込まれ、監視人が脅され、すでに富裕な人々が搾取により経済的利益を独占し、「真実」や「事実」、「自由」、「共感」、「権利」といった概念が、政治的に都合のいい場合にだけ使われる言葉と化す。(318ページ)

 経済学を、僕は若い時勉強しました。当時、力不足からか十分に理解はできませんでした。しかしながら、当時から各国で大きな社会的影響力を及ぼしてきつつあった供給サイドの経済学には強い強い違和感を感じてきました。「何のための学問なのだろう?」と素朴な疑問を持ちました。自然環境を重視しながら持続的経済成長を実現するためや貧困の撲滅といった人類に普遍的な課題に取り組むための知見を構築することこそを目的とする社会科学である経済学というのが私なりの理解は間違っているのだろうかとか考えたりもしました。この度、本書を読んでroughな経済学についての僕の理解も赤点ではないかもしれないと(笑)思うことができました。帯広・十勝のやる気のある若い方々が経済学研究を志してほしいと強く望みます。







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