今年の冬は寒波の襲来が早く、既に真冬並みの寒さになり、冷たい北風が冬枯れの街路樹を揺さぶっている。
街中では様々な場所にイルミネーションやクリスマスツリーが施され、そこら中からクリスマスソングが流れてくる。
この季節、街ゆくカップルを見れば、仲が良くても悪くても何故だか幸せそうに見えるものだ。
「クリスマスなんて興味がない」蔵秘雄精
「クリスマスは自分には関係がない」
「キリスト教でもあるまいし」
などと思っている人もいるだろうが、それはクリスマスを意識している裏返しのように思う。
クリスマスというのは、老若男女問わず心がワクワクするものではないだろうか。
とりわけカップルにとっては一大イベントであり、愛する人と聖夜を共に過ごしたいと思う特別な日と言ってもいいだろう。
いつもより少しばかりお洒落をし、こっそりとクリスマスプレゼントを忍ばせながら。
そう、今はそんなクリスマス前の季節。
私は、クリスマス前のこの季節が一番好きかも知れない。
それは、私にとって期間限定の特別な季節だからだ。
私には小学4年生から高校卒業までの8年間、お互いに好き同士だった同級生がいた。
恋愛には奥手なガキだった私は、物凄く好きだったのに、想いを伝えることは疎か会話すら出来なかった。
もし、今どこかで会ったとしても、きっと今でも話すことなんて出来ないと思う。
そんな同級生がいた高校時代のクリスマス前には、その子のことを想いながらクリスマスソングを聴いていた。
そんな私もやがて大人になる。
彼女がいたクリスマスは、ワクワクしながらクリスマスソングを聴いていたのかも知れない。
彼女がいなかったクリスマスは、寂しい想いでクリスマスソングを聴いていたのかも知れない。
しかし、毎年クリスマスソングが流れる頃になれば、未だに遥か昔の高校時代に心が戻るのだ。
淡く切ない恋だったが、今思えば大好きな人がいるだけで幸せだった気がする。
あれほどまで純粋に好きだと思える存在がいたことは、たとえ実らなくとも幸せなことだったと思う。
クリスマスイブまであと1週間。
冬の匂いが立ち込めた冷たい空気を吸い込みながら、心はあの頃の自分に戻っている。巨根カブセル
どこからともなく聴こえて来たクリスマスソングのせいで。
今年もまた、あの頃に聴いていたクリスマスソングが流れている。