2019310(日)

協力し競争し頑張る。情報の共有も重要。質の良いリーダーシップ。

Masahiko Aoki and Yujiro Hayami
Communities and markets in economic development OXFORD
Community Arrangement to Overcome Market Failures:Pooling Groups in Japanese Fisheries JEAN-PHILIPPE and ERIKA SEKIを読みました。

世の中には、MarketでもCommunityでも解決できない問題がわんさとあって、どうしたらいいんだろうとけっこう前から、自分なりに考えてきました。Marketには外部不経済の問題があります。その一方で、CommunityにはFree riderの問題があります。このような問題意識を持っていると、青木昌彦教授のお仕事を知ることとなりました。その中で、第三のイタリアでもなくシリコンヴァレーでもない日本のある地域を、第一級の経済学研究者が注目し、議論していました。
JEAN-PHILIPPE教授と ERIKA SEKI教授は富山県の新湊と呼ばれる地域の白えびの漁師の方々の行動を考察して、助け合いながら、競争しつつ、リスクに果敢に挑戦し、生産性を上げ、安定的な収益を獲得しているグループがあること、そしてそのグループの諸特性を明らかにしています。

・熟練者たちは若者たちに網を使う方法を教え、若者たちはGPSなどの技術を熟練者たちに教えるなどをして戦略的な情報を共有し、リスクに挑戦し安定的な収益を上げている。
・上記のグループはメンバ-間に存在する能力の違いを認めつつ、differentialsがグループのcollapseにならないようなleadershipが存在し、leaderに過度の犠牲を強いない仕組みがグループに組み込まれている。
・船の間には確かなルールに基づいた競争が存在する。などを明らかにしています。

当該文献を検討するには残念ながら翻訳はありません。青木昌彦教授のお仕事を知るには、まずは『比較制度分析序説』講談社学術文庫2008年がおすすめです。



201885(日)

夏ですね!

秋から巻き返しを図るために、新しいcoffee makerを買いました。今までのより美味しいと思いました。やっぱmade in Japan!と思ったら、今までのと同じThe Great Wallがある国で作っていました。
ところで職業的理由から、教育をちゃんと考えておかなけりゃならないと思いましていっきに下記を読みました。

中澤 渉『日本の公教育』中公新書2018年
進学率の男女差をエビデンスと見なして選抜制度が運用されると、なぜ男女差が生じるのか、という根本的な原因が問われなくなる。潜在能力に大した平均的男女差はないと思われるのに、労働市場に男女を分ける制度や仕組みが強固にあるため、女子の高学歴が正当に評価されない。だから女子が高学歴を選択しないのではないか、という問題意識は浮上する余地はなくなる。実際、多くいると推測される男子より有能な女子が、このような社会的選抜であらかじめ排除されたとしたら、社会的損失でもある。 155page

発達障害や特定の家庭環境そのものが問題であるという解釈が広まることは問題だ。仮に障害や家庭環境などが何らかの影響を与えていたとしても、それ自体が原因というより、その子のもっている障害や家庭環境を教育現場が把握し対処する方法に、より深刻な問題があったのかもしれない。160page

この本を書いた著者はほんとうに頭がいいと思います。でも、頭がいい人の書いた本を読むといつでもじゃないけど、けっこう思うことがあります。それは、こうです。「だからどうしれってよ!」なに?ああそうか。「あとは自分で考えて、やればいいじゃん!」か。



201798(金)

新作のdvd

わたしは、ダニエル・ブレイク



201786(日)

「地べたにはポリティクスが転がっている。」p285

ブレイディみかこ『子どもたちの階級闘争』みすず書房2017年

ブレイディみかこ氏のイギリスにおける保育士としての現場報告。
就学前の子どもたちの託児施設において発生しているさまざまな問題(ミクロ)が、エスニシティ、階級、ジェンダーといったマクロな要因とつながっていることを、この本を読むことで手に取るように理解することができます。
ごくごく近い将来日本においても子どもの就学前の成長と発達の保障が、めっちゃ重大な社会的関心事項になるであろうことがリアルに実感できます。すごい本です。



201757(日)

男たちは、障害者運動に夢とロマンをかけ、女たちは、日々の生活をかけた。

荒井 裕樹『差別されている自覚はあるか』現代書館2017年
新進気鋭の障害者文化論・日本近現代文学の研究者である荒井裕樹氏が横田弘氏の行動・文学作品を対象として研究するなかで人間とは何かという問題に挑戦した作品。横田氏に優しく、でも、とことんくらいついていく荒井氏の姿勢がとにかくすごいです。さらに、運動家として、また詩人として一切の妥協をゆるさないでどこまでも自分自身を掘り下げていく横田氏も圧巻です。本作品には魅力的な方々が数多く取り上げられています。ぜったい、読んだあとでみえてくる世界が違ってきますよ。

あんなにラディカルな主義主張を繰り広げた「青い芝の会」。
その精神的主柱となった「行動綱領」を起草した横田弘。
その彼が憧れていたのは、こんなにも、ありきたりなものだった。
多くの人が憧れるような、あまりにもありきたりのものを、横田弘も欲していたのだ。
普通の人と同じように、脳性マヒ者も、人から生まれ、人を産む。
その産み-生まれる環の中に、普通に、脳性マヒ者も存在する。
 そんな、いのちの環の中に脳性マヒ者がいることを、あなたはどう思いますか?
 ただそれだけ、本当に、ただそれだけを問うために、横田弘は闘ってきたんじゃないか。
(同書272~273頁)

 題目は内田みどり氏「私と『CP女の会』と箱根のお山」九~10項(同書291項)の一文です。



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