「真っすぐ伸びる木もあれば、ねじれる木もある。
材質も堅い、粘りがあると様々です。
木も人間と同じ生き物なんですよ。
だから個々の木の声に耳を傾け、それぞれの生命を殺さずに、塔やお堂に移し替えるということが何よりも大切なんです。
いまの時代では、何でも規格を決めて、それに合わせようとする。
合わないものは切り捨ててしまう。
人間の扱いも同じですね。
それでは、理屈は通っても不自然なことこのうえない。」
西岡常一
[にしおか・つねかず]
(宮大工棟梁、奈良薬師寺金堂の再建などに携わった、1908~1995)