獣医療情報(24)


201638(火)

この時期にやっておきたいアレルギー性皮膚炎の治療法


この時期にやっておきたいアレルギー性皮膚炎の治療法

慢性のアレルギー性皮膚炎に困っている、特にわんこ達にこの時期にやっておきたい治療法を紹介します。

 まず最初にアレルギーについて、さらっと紹介します。アレルギーとは、本来、敵(バイキンやウィルス)を攻撃する免疫反応が、たとえば花粉など、体にとってどーでもいい相手に対しても攻撃してしまい、炎症が起こることを言います。アレルギーの原因となる起爆剤(以下アレルゲン)には、1:「ノミ、ダニのような屋内アレルゲン」2:「花粉や草などの屋外アレルゲン」3:「食べ物に含まれる食物アレルゲン」の3つに分類できます。

 アレルギーの治療の基本は、動物からアレルゲンを除去し、炎症を起爆させない事です。ただ、ここで問題なのは、この3つの起爆剤のうち、どれがどんだけ動物を困らせているか、はっきり把握できない、と言う事です。

 まず、屋内アレルゲンは年中存在します。これに対しては掃除などで清潔な環境に整えることでアレルゲンを除去できます。そして、屋外アレルゲンですが、この時期は草等は雪の下に隠されていますし、花粉などは出ていません、極めて少ない状況です。この状況はこの時期ならではで、絶好のチャンスです。自然が屋外アレルゲンを除去してくれます。

 ここで食物アレルゲンの除去です。これまで、慢性のアレルギー性皮膚炎で困ってるわんこ達は色んなフードを試された子もいるでしょう。で、あんまり効果がなかった事もあるでしょう。でも、それって本当にフードに効果がなかった?実はたまたまその時期の屋外アレルゲンが悪かった可能性もあります。屋外の起爆剤が少ないこの時期に、食物アレルゲンを徹底的になくした特別な療法食への変更をおススメします。
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長年、慢性の皮膚炎で悩んでたけど、この冬に、フードの変更で皮膚がすっかりきれいになった子の紹介です。

10月は、目の周りや足に脱毛や皮膚の赤身が見られました。
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1月にはそれらの症状が無くなりました。
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結論として、この子は食事療法が冬の間は皮膚炎に効果があったといえます。そして、今後屋外アレルゲンが出てきて悪化する際には、食事療法に加えて別な方法をかぶせていく計画です。

追記:ガンの記事、一つ忘れてた〜!!


この記事のURL2016-03-08 19:41:19

2016126(火)

オシッコづまり警報発令中!!


オシッコづまり警報発令中!!

昨年末以降、オシッコづまりののネコちゃんの来院が続いています。当院は年末年始にこの対応に追われ、てんてこ舞いの日々でした。気が付いたら、もう1月も26日じゃん。

取り急ぎのお知らせなので、過去の投稿の丸写しですが、ご容赦下さい。

(以下、院内掲示物)
やあ,ワンコ&ニャンコの諸君、ご機嫌いかが?
ついに冬が来た!あの季節が来てしまった‥

「あの季節」っのは‥そう、オシッコづまりの季節だ!!


オシッコづまりって、オシッコに石、すなわち尿石ができる事だ。その理由は、①飲水量の低下、②排尿回数の減少がある。

特に、去勢手術をしたオスネコの諸君らは注意が必要だ!!


対策としては、①お水をたくさん飲む。②おうちの人にオシッコがちゃんと
出てるか見てもらう(オシッコづまりを便秘と勘違いしやすい人が多い。)
の2点に注意しよう。でも、もしオシッコづまりになったら‥
とにかく早めに病院にきて注射を打ってもらおう

「病院が嫌だから、様子を見てみる、気合いで治す」ってのはもってのほかだ。
こじらせちゃったら、尿道カテーテル入れられて、入院室に監禁されちゃうぞ!!

処置が1日遅れると入院、2日遅れでは三途の川を見る事になる。

とにかく春が来るまで、気をつけよう!!

かんじがよめないこは、おうちのひとによんでもらおう。


この記事のURL2016-01-26 20:09:06

20151014(水)

動物のガンについて:治療編


動物のガンについて:治療編

今回は「ガンの治療」についてです。

 おさらいしますと、ガンとは目的を忘れ、無秩序に分裂を繰り返す細胞群です。ある程度の数が集まると、しこりを形成します。実はしこりの周りにがん細胞で出来た脚を伸ばします。英語ではガンのことを “CANCER” と言いますが、これは星座の『かに』という意味もあります。ガンはまるでカニのように足を広げます。

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ガンのイメージ


手術で摘出
1番手っ取り早いのは、無法者のガンを手術で取り切ることです。もちろん、このときに見えているしこりの周りに脚が広がっていますから、しこりの周りを余裕もって3センチぐらい大きく取る必要があります。仮に、皮膚に出来た直径2cmのガンなら、周囲の足を取りきるために直径5cmくらいの円で皮膚をとりきます。
 手術は、ガンを取り去る有効な方法で、完治も期待出来ますが、できた場所や、ガンの脚の伸び具合(=ガン浸潤)によってはできない場合もあります。例えば、鼻の頭にできたガンを摘出するには、鼻を取ってしまう必要があります。さて、そのような状態を飼い主さんは受けることができるでしょうか?
 手術の適応は、飼い主さんと獣医師の念密な打ち合わせが必要になると思います。

抗ガン剤
ガン細胞は、非常に速い速度で分裂するという特徴があります。分裂している細胞のDNAは、2本が強く結合した安定した状態から、バラバラで不安定な1本の鎖になります。そのような不安定な状態を攻撃するのか抗がん剤です。
 ここで問題になるのが、体の中には毛根細胞や、消化管の細胞、白血球の様に、健康でも細胞分裂を早く起こしている場所があります。抗ガン剤はそのような細胞も攻撃してしまい、副作用を引き起こします。しかし、吐き気止めや、白血球の減少を抑える薬などにより、副作用を軽くできるようになってきています。
 ガンの種類によって効果のある抗がん剤を選択したり、ひとつのガンに対して数種類の抗ガン剤を用いることもあります。また最近は、ガン細胞だけに作用する分子標的治療薬というものもあります。

放射線療法
放射線も分裂している細胞のDNAを攻撃するという性質があります。放射線はガンだけを狙えるというメリットもありますが、効果のあるガンも限られ、また実施できる施設も限られます。

次回は、ちょっと特殊な治療法をお伝いします。


この記事のURL2015-10-14 22:16:05

2015108(木)

動物のガンについて:診断編


動物のガンについて:診断編

今回は「ガンの診断」についてでです。
巻末に参考画像をつけました。動物の口の中を不快に思われる方は、ご覧にならない様にして下さい。

ステップ1:シコリの発見
 ここは、飼い主さんの毎日の観察力が重要になります。
ガンとは、無秩序に分裂をくり返す細胞群です。そして成長と共にシコリを形成します。
シコリの発見がステップ1になります。動物をおウチでなでていると、背中にプクッとしたものを見つけたり、小さいシコリであれば、トリミングの最中に見つかる事もあるでしょう。
また、口の奥の方などの見えづらい所にガンが出来る場合もあります。(本稿一番下、参考画像1青い矢印がシコリ)
 体の表面にないものは、超音波診断装置やレントゲンで見つける事もあります。
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健康診断に見つかった肺がん

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超音波検査でみつかった大腸がん


ステップ2:そのシコリはガン細胞ですか?
さて、次はみつけたシコリの内部の細胞を調べる必要があります。内部の細胞はガン細胞なのか?ガン細胞なら悪性か良性かの区別が必要です。そしてどれだけ悪性か、悪性度の判断も必要になります。
 外科手術でシコリを取り出して、内部の細胞をくまなく調べたり、細い針をシコリに入れて細胞を吸い出したりと、色々な方法がありますが、それらの方法にはメリット&デメリットがあり、動物の状態やシコリの位置など、ケース・バイ・ケースで方法を選択していきます。
 取り出した細胞を顕微鏡で見て、上記の悪性度などを判断します。これを「細胞診」と言います
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特殊な診断方法:血液検査や遺伝子検査
「先生、血液検査でわかるでしょ?」と聞かれることがあります。
 ガンの中には血液のなかにエキス(=腫瘍マーカー)を出していて、血液検査で診断できるものもありますが、全てのガンで腫瘍マーカーがある訳ではありません。

 また、最近では一部のガンの遺伝子検査もあります。画像はリンパ腫のクローナリティ検査というものです。
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次は治療編です。
(下にスクロールすると、見つけづらい口の中のシコリの画像があります。)
























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参考画像1青い矢印がシコリ。口の中を見る機会は少ないようですが、歯みがきの習慣をつけると発見し易いです。


この記事のURL2015-10-08 17:57:34

2015106(火)

動物のガンについて その1


動物のガンについて その1

ここの所、著名な方々がガンに罹患され、飼い主の皆様からガンについてのご質問を良く受けます。本稿から数回に分けて、動物のガンについてのお話をさせていただきます。

1:ガンってそもそも何?(キーワードは分化)
ガンとはなにか?それを知る為には、動物の生命の始まりから考える必要があります。

 動物の生命は、一個の受精卵から始まります。一個の受精卵が、2個に細胞分裂し、それが、2→4→8→16→32‥と分裂を繰り返し、徐々に体を作って行きます。
 やがて分裂した細胞は、それぞれ役割と特徴をもって分裂していきます、つまり毛になる細胞、 筋肉になる細胞、 肺になる細胞…200種類以上の細胞に形をかえていきます。これを分化と言います。この分化は、日常的に古い細胞を新しくする為に続きます。

 では、ガンとは?秩序をもって分化をしている細胞のうち、「あ〜、もう分化はヤメヤメ。とにかく分裂だけしちゃおう。そうだ、何もかもしがらみから解放されて分裂だけしよ〜っと。分裂! 分裂! 分裂! 分裂…」とヤケクソになったものがガン細胞です。

2:ガンの何がまずいの?
 さて、役割を捨て分裂をくり返し、ガン細胞はやがて塊を作ります。これがシコリやコブと認知される状態です。やがてシコリは成長し、周りの真面目な臓器を圧迫し、各臓器の働きを邪魔します。
 また、シコリの中のガン細胞の中には、リンパ管に入り込み、その流れに乗って遠く旅をします。そして流れ着いたその先で再び「 分裂! 分裂! 分裂! 分裂…」となりシコリを作り上げて行きます。これが遠隔転移という状態です。この転移したシコリもまた、周りの臓器を圧迫し、機能を妨害します。
 そしてシコリはなんの役割もないくせに、栄養だけはちゃんと摂ります。この栄養の横取りで動物は衰弱します。

ガンになる原因は?
 人間では、生活習慣や喫煙がガンの発症リスクをあげると言われています。注意したいのは、それらはリスクをあげるだけで、直接的な原因だ!とは言い切れません。動物についても生活習慣や受動喫煙に気をつけていただきたいのですが、気をつけていても、例えば体重管理をしっかりしていても、ガンを発症してしまう動物もいます。(これ以上の記述は、DNAなどの話になりますので、こちらでは省略し、後は病院でお話します。)
 ワンコについては、ある特定の犬種で特定のガンが発生し易い事がわかってます。例えば、ゴールデン・レトリバーのリンパ腫、シェルティの膀胱癌、などです。

次回は、検査や治療についてお伝えしたいと思います。


この記事のURL2015-10-06 13:19:51

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