2014年12月13日(土)
廃屋

間違い探し。





今日は難易度低かったですね。
「廃屋」
茨木のり子
人が
棲まなくなると
家は
たちまちに蚕食される
何者かの手によって
待ってました!とばかりに
つるばらは伸び放題
樹々はふてくされて いやらしく繁茂
ふしぎなことに柱さえ はや投げの表情だ
頑丈そうにみえた木戸 ひきちぎられ
あっというまに草ぼうぼう 温気にむれ
魑魅魍魎をひきつれて
何者かの手荒く占拠する気配
戸さえなく
吹きさらしの
囲炉裏の在りかのみ それと知られる
山中の廃居
ゆくりなく ゆきあたり 寒気だつ
波の底にかつての関所跡を見てしまったときのように
人が
家に
棲む
それは絶えず何者かと
果敢に闘っていることかもしれぬ

.





今日は難易度低かったですね。
「廃屋」
茨木のり子
人が
棲まなくなると
家は
たちまちに蚕食される
何者かの手によって
待ってました!とばかりに
つるばらは伸び放題
樹々はふてくされて いやらしく繁茂
ふしぎなことに柱さえ はや投げの表情だ
頑丈そうにみえた木戸 ひきちぎられ
あっというまに草ぼうぼう 温気にむれ
魑魅魍魎をひきつれて
何者かの手荒く占拠する気配
戸さえなく
吹きさらしの
囲炉裏の在りかのみ それと知られる
山中の廃居
ゆくりなく ゆきあたり 寒気だつ
波の底にかつての関所跡を見てしまったときのように
人が
家に
棲む
それは絶えず何者かと
果敢に闘っていることかもしれぬ

2013,otofuke
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2014年12月10日(水)
汲む

おや、おや

いつも笑顔の仁科社長さん。
いつも助けてもらっています。
「汲む」―Y・Yに―
茨木のり子
大人になるというのは
すれっからしになるということだと
思い込んでいた少女の頃
立居振舞の美しい
発音の正確な
素敵な女の人と会いました
そのひとは私の背のびを見すかしたように
なにげない話に言いました
初々しさが大切なの
人に対しても世の中に対しても
人を人とも思わなくなったとき
堕落が始まるのね 堕ちてゆくのを
隠そうとしても 隠せなくなった人を何人も見ました
私はどきんとし
そして深く悟りました
大人になってもどぎまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 醜く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子どもの悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外にむかってひらかれるのこそ難しい
あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと……
わたくしもかつてのあの人と同じぐらいの年になりました
たちかえり
今もときどきその意味を
ひっそり汲むことがあるのです

.

いつも笑顔の仁科社長さん。
いつも助けてもらっています。
「汲む」―Y・Yに―
茨木のり子
大人になるというのは
すれっからしになるということだと
思い込んでいた少女の頃
立居振舞の美しい
発音の正確な
素敵な女の人と会いました
そのひとは私の背のびを見すかしたように
なにげない話に言いました
初々しさが大切なの
人に対しても世の中に対しても
人を人とも思わなくなったとき
堕落が始まるのね 堕ちてゆくのを
隠そうとしても 隠せなくなった人を何人も見ました
私はどきんとし
そして深く悟りました
大人になってもどぎまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 醜く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子どもの悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外にむかってひらかれるのこそ難しい
あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと……
わたくしもかつてのあの人と同じぐらいの年になりました
たちかえり
今もときどきその意味を
ひっそり汲むことがあるのです

2005,otofuke
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2014年12月9日(火)
十二月のうた
2014年12月8日(月)
灯(ともしび)




「灯(ともしび)」
茨木のり子
人の身の上に起こることは
我が身にも起こりうること
よその国に吹き荒れる嵐は
この国にも吹き荒れるかもしれないもの
けれど想像力はちっぽけなので
なかなか遠くまで羽ばたいてはゆけない
みんなとは違う考えを持っている
ただそれだけのことで拘束され
誰にも知られず誰にも見えないところで
問答無用に倒されてゆくのはどんな思いだろう
もしも私が そんな目にあったとき
おそろしい暗黒と絶望のなかで
どこか遠くにかすかにまたたく灯がみえたら
それが少しづつ近づいてくるように見えたら
どんなにうれしくみつめるだろう
たとえそれが小さな小さな灯であっても
よしんば
目をつむってしまったあとであっても

2011,otofuke
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2014年12月6日(土)
わたしが一番きれいだったとき

ウインクできないの。
おっ、ユーちゃん。
骸骨手袋健在。
夏風くん。股間には冬風。
こっちの現場は一段と寒s
おっ、今野Bros!
兄は拝み
弟は掘る。
専務ごと掘る。
「わたしが一番きれいだったとき 」
茨木のり子
わたしが一番きれいだったとき
街々はがらがらと崩れていって
とんでもないところから
青空なんかが見えたりした
わたしが一番きれいだったとき
まわりの人達が沢山死んだ
工場で 海で 名もない島で
わたしはおしゃれのきっかけを落としてしまった
わたしが一番きれいだったとき
誰もやさしい贈り物を捧げてはくれなかった
男たちは挙手の礼しか知らなくて
きれいな眼差だけを残し皆(みな)発っていった
わたしが一番きれいだったとき
わたしの頭はからっぽで
わたしの心はかたくなで
手足ばかりが栗色に光った
わたしが一番きれいだったとき
わたしの国は戦争で負けた
そんな馬鹿なことってあるものか
ブラウスの腕をまくり卑屈な町をのし歩いた
わたしが一番きれいだったとき
ラジオからはジャズが溢れた
禁煙を破ったときのようにくらくらしながら
わたしは異国の甘い音楽をむさぼった
わたしが一番きれいだったとき
わたしはとてもふしあわせ
わたしはとてもとんちんかん
わたしはめっぽうさびしかった
だから決めた できれば長生きすることに
年とってから凄く美しい絵を描いた
フランスのルオー爺さんのように ね

.




おっ、今野Bros!



「わたしが一番きれいだったとき 」
茨木のり子
わたしが一番きれいだったとき
街々はがらがらと崩れていって
とんでもないところから
青空なんかが見えたりした
わたしが一番きれいだったとき
まわりの人達が沢山死んだ
工場で 海で 名もない島で
わたしはおしゃれのきっかけを落としてしまった
わたしが一番きれいだったとき
誰もやさしい贈り物を捧げてはくれなかった
男たちは挙手の礼しか知らなくて
きれいな眼差だけを残し皆(みな)発っていった
わたしが一番きれいだったとき
わたしの頭はからっぽで
わたしの心はかたくなで
手足ばかりが栗色に光った
わたしが一番きれいだったとき
わたしの国は戦争で負けた
そんな馬鹿なことってあるものか
ブラウスの腕をまくり卑屈な町をのし歩いた
わたしが一番きれいだったとき
ラジオからはジャズが溢れた
禁煙を破ったときのようにくらくらしながら
わたしは異国の甘い音楽をむさぼった
わたしが一番きれいだったとき
わたしはとてもふしあわせ
わたしはとてもとんちんかん
わたしはめっぽうさびしかった
だから決めた できれば長生きすることに
年とってから凄く美しい絵を描いた
フランスのルオー爺さんのように ね

2008,otofuke
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