まちづくり・政治(59)


20101219(日)

第5期総計の10年への不安と答え


 第5期総合計画基本構想の審査を行った議会の特別委員会では、基本構想議論からは遠い個別要望や策定過程へのいちゃもんなど、基本構想の中身と関係のない質問が相次いでいましたが、唯一、荒木議員が核心の問題点を指摘していました。

 荒木氏は、第5期の計画が町民の参加と支え合いによる社会を目指している点について、地域内の人々のつながりが弱くなり、個人が優先される傾向が強くなる中で、きれいごとを言っても実現できないのではないか、何か考えていることはあるのか質しました。

 この点については、策定委員会「健康と福祉部会」の中でもさんざん議論しました。誰もが不安を感じ、はっきりとした答えを持っているわけではありませんが、町内会での対応の限界、個人情報保護の壁、老人クラブ加入率の低下などを直視すれば、従来の発想、既存の組織に頼るだけでは解決しないとし、地域や世代を超えた新たなNPO法人やボランティア団体の育成支援を大きな柱の一つとしました。

 参加と支え合いの社会の実現、町民の自治意識の高まりは、できるかどうかではなく、少子高齢化と財政を考えれば、やらなくてはならないテーマです。それこそが第4期の総合計画と第5期のそれとの大きな違いの一つです。財政が危機的状況を脱すれば、昔と同じように町民から寄せられる要望に応えていけるようになるのにと考えることは許されません。

 ただ、町長の答弁は策定委員会での議論をふまえてのものというよりは、持論の町内会再編構想とその実現の難しさを語るにとどまっていたようでした。



20101129(月)

4000人超集まったが熱気は感じなかったTPP反対集会


4000人超集まったが熱気は感じなかったTPP反対集会

 11月28日、アグリアリーナ(音更)で開催された「TPPから食卓と地域社会を守る十勝大会」。4000人超が十勝各地からバスなどでぞくぞくと集結しました。私たちが会場に入るとすでに多くの参加者がおり、自分たちの場所を探すのも一苦労でした。

 その規模の割に盛り上がりに欠けたように感じました。

 冒頭、マイクの調子が良くなかったから。WTOや日豪EPA反対などこの手の大集会に慣れてしまったから。ちょっと前まで地元選出国会議員が4人いたのに比べ今回は無所属の石川議員しかいなかったから。など、理由はいろいろ思いつきます。

 が、最も大きかったのは、食糧安全保障にかかわる重大事であるのに損得勘定を優先させ「開国」するとし、自由化を進める代わりに行うとする農業対策に具体性や現実味がまったく感じられないことで、いくら大きな集会を開いても今の政府には声が届きそうもないというむなしさだったのではないでしょうか。

 首相の国会答弁では「農業者の平均年齢は65歳。このままではどっちみちジリ貧」だという言葉が一度ならず聞かれましたが、面積はEUを超え、後継者もいる十勝のような専業地帯がもっとも大きな影響を受けることになります。



2010920(月)

後発のまちの観光資源は人々の暮らしの質


 牛玉ステーキ丼のヒットでにわかに観光気分の高まってきた感があるわが町ですが、この勢いをどう持続させて次の展開に持っていくかが関係者の課題です。たぶん。

 しかし、次の目玉を作り出すことを考える前に、町内にある観光資源の発掘や清水町の観光のあり方を考えることが大事でしょう。

 牛玉ステーキ丼だって、「清水町の肉牛飼養頭数全道2位、鶏卵の生産全道3位という事実」(ヒロ中田氏)から生まれたものです。

 清水町がこれまで観光にそれほどの力を入れてこなかった理由は、きれいな湖がなかったこともありますが、農業や商工業だけで十分食べてこられたからに他ならないと考えます。

 しかし、そのことによって、清水町にはこれといった観光資源がないというネガティブな意識が定着し、「これといったものがない町」と卑下している状況は変えなければなりません。

 湖や旧所名跡を観光資源にして、たくさんの観光客に訪れてもらおうという従来型の観光から、ゆっくり滞在してもらって「観光客向けでない」清水町の普段の姿を見てもらい、町の人々と触れ合って旅の思い出を作ってもらう観光への転換です。

 観光の指標を入込者数から宿泊者数に変えることも、意識改革のひとつでしょう。

 自然も農業も飲食店も、清水町の人が思っている以上に魅力はあります。

 観光をてこにしてまちづくりを進め、住んでいる人々の暮らしの質を高める。そのことによって、さらに訪れたいと思う観光客を増やす。

 観光後発の清水町が目指すべきは、町民の笑顔を資源にした観光でありたいといったら・・・、ちょっとキザか。



201081(日)

健康と福祉部会のキーワードは「自立」、「参加」、「支え合い」


 先日、新たなまちづくり計画(第5期総合計画)策定委員会の第2部会(「健康と福祉」部会)が18回の会議をもって検討を終了しました。

 今回の計画策定では、これまでの第4期の計画中の「誰もが健康で安心して暮らせる福祉のまち」を、いくら読んでも何にも間違ったことが書いていないばかりか、現況と課題についてもすでに同じような認識を持っているため、第4期の計画をそのまま続ければいいのではないかとの意見さえありました。

 部会では、自由な意見交換を行いながら、町民アンケートの結果や100人委員会での意見なども参考にしながら、10年後の人口・年齢構成の想定、国の財政悪化などを念頭に、詳細に検討を重ねました。

 総合計画の基本構想・基本計画は「10年後を照らす灯台のようなもの」(吉岡アドバイザー)であることが求められていると理解し、詳細な計画や実現の具体的手段ではなく、10年後にはこんな町にしたいということが概ね示されていることをめざしました。

 が、計画が美辞麗句を並べただけのものになっては意味がないので、計画の文言の裏には、必ず(現時点で思いつく)具体的な施策を考える作業も当然行っています。

 今後、高齢化率の上昇に財政難が追い打ちをかける構図が明らかで、10年後を考えると悲観的にならざるを得ませんが、部会の検討では、

・自分の健康は自分で守る
・高齢者の増加は経験を積み、それを生かせる人が増えることとポジティブにとらえる
・障がい者に活躍の場を作る
・子供の健やかな成長のため子育て世帯を支援する
・NPOを増やし、まちぐるみで支え合う
・本当に困っている人のために行政はあるべき

などをポイントにして、住みよいまちの議論を進めました。キーワードは「自立」、「参加」、「支え合い」だったと、私は考えています。

 「健康と福祉」分野の表題は「健康で思いやりのあふれるまちづくり」としました。

 はっきり言って、18回も検討したのに、一言で表現するとこんなに特徴のないものになってしまうのかとの印象もないわけではありません。

 第4期の「誰もが健康で安心して暮らせる福祉のまち」同様、あまりにも「もっともだ」と思わせる当たり前な感じがしますが、第4期のそれと第5期のとでは決定的な違いがあると、私は考えています。

 「誰もが健康で安心して暮らせる福祉のまち」は、行政が環境を整えて町民が安心して暮らせるようにする行政依存の発想から脱していませんが、「健康で思いやりのあふれるまちづくり」は、町民一人ひとりの日ごろからの心がけによってまちづくりを行うという宣言であると考えています。

 文章のたくさん書かれた計画を隅から隅まで何べんも読み返すなんて人はそういないと思いますが、そこだけでも理解してもらえれば幸いです。


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 清水町新たなまちづくり計画策定委員会は、昨年8月27日に第1回の会議が行われ、10月からは4つの部会(①環境とコミュニケーション、②健康と福祉、③教育・文化・スポーツ、④産業振興)に分かれてそれぞれの分野について検討作業をしてきました。私は「健康と福祉」部会に属し、部会長を務めました。



2010317(水)

企業誘致とまちづくり


 3月議会で議論が集中している経済活性化のための専門委員の設置ですが、はたして専門委員を置けば企業誘致が実現するかというと、そんな簡単なものでないことは誰でもがわかることです。

 経済活性化戦略会議の設置で成果が出ないから専門委員を置くというのではなく、まず、まちづくりをしっかり行うことが大事でしょう。

 ワンストップ窓口を設けたからといって移住が進むのではなく、福祉、教育、医療がしっかりしていることが大事なのと同じです。

 道の駅を作ったからといって観光客が増えるわけではなく、特産物やそこに行かなければ体感できない文化や景観を生かした町並みづくりが大事なのと同じです。

 企業誘致をするためには、核になる産業があるか、受け入れのための環境が整っているか、ビジョンを持って町民と意思が共有された行政かということが問われると思います。

 足場を固めずして、専門委員が飛びまわっても成果が出るとは思えません。

 専門委員のポストを置くことにのみ企業誘致を賭けるのではなく、町の実力・魅力をアップすることに各分野で全力を傾注するために力を合わせることが大事です。

 企業誘致をてこにしたまちづくり。移住・定住をてこにしたまちづくり。観光をてこにしたまちづくり。

 要は、誇りの持てる住みよい、わが町をつくることです。



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橋本てるあき
橋本牧場(酪農)場主

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