2008528(水)

仔リス 卒業


仔リス 卒業

あの小さかった 仔リスたち、
今では 冬に エゾモモンガが暮らしていた小屋の中に
6匹で そろって暮らしています。

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多少、まだ牛乳を浸したパンを食べてはいるようですが、
もう注射器でミルクを与えるのは終わりました。
自分の歯で カリカリと、ヒマワリの種や、松の実、クルミ、果物などを
元気に食べています。


6匹もいるので、
まだ、リスを家に持ち帰っていた頃は、巣箱をあけると

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中は、エゾリスたちで いっぱいでした!

今は もっと体が大きくなっているので、
もう ひとつの巣箱に 6匹全ては入っていないんでしょうね。


そして、今では 小屋の写真を撮っていると・・・

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人馴れしてるせいか、ぞくぞくと集まって来たりします。

ミルクを与えて育てたことを 覚えてくれているのは
嬉しかったりもするのですが・・・

野生動物が人に慣れるということは、
 飼育係には 悩ましいところです・・・。


中でも、私がミルクを与えていた 「 リ 」 と 「 ス 」 は
かなり積極的でした。


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アミにひっついてまで 近づこうとしてくれていますが、

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さわろうとすると、今度は すばやく逃げて 全然さわれません。


そして、まだまだ食欲旺盛な エゾリスたちは、
エサを置くと 続々と集まってきてました。

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木の実を食べるのが とっても上手になりました。

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木から 木へと飛び移る リスたちの動きはとっても すばやいです!!

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今は、まだこの小屋でもいいのですが、
すぐにこの小屋も エゾリスたちには小さくなります。

まだ全然エゾリスたちが小さい頃、
冗談で 「 自分の家で飼いたいですよね 」 なんて話しをしていると、
飼育の先輩から、
「 それじゃあ 20畳のリス用の部屋がいるな 」 と言われました。

おおげさな話しのようですが、
私の冗談に 先輩は まじめに答えてくれていました。


私が生まれる前から存在している おびひろ動物園の歴史の中には、
成功の歴史もあれば、失敗の歴史もあって、
そんな失敗の歴史の中には、エゾリスでの失敗もあったそうです。


エゾリスは、犬などと比べると 体が小さいので、
一見 小さなカゴでも 飼育できそうですが、
そんな 体にあわせた小さなカゴの中で 暮らしていると
ストレスで すぐ病気になるそうです。

なので、病気にならない、充分に運動が出来る広さが必要で、
エサや、水だけではなく、
歯が伸びすぎないようにするもの、
日光にあたれる環境、
退屈しないための環境、などが、
エゾリスが 幸せに暮らしていくためには必要なのだそうです。

実際に、家にまだ持ち帰っていた終わりごろは、
エゾリスたちが退屈しないように、家の中を走り回らせていましたが
ツメでカーテンが切れたり、壁やカーテンレールを カリカリと噛んだりして
小さいながらも、早くも 元気に家中を おもちゃにしていました・・・


数日間 自分の家でエゾリスたちと一緒に暮らして、
小さな動物でも 野生で暮らすための 能力や 性格をもった動物を
私たち人間の暮らしに合わせて飼う難しさを 感じました。

でも、実際に ペットとして飼っている
エゾリスや シマリスが長生きしている例もあるのですが・・
負けていないつもりですが 「 愛情 」 の差なのでしょうか??


とにかく、今回のエゾリスの人工飼育は
とても勉強になりましたし、とても楽しかったです。

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そしてなにより、最初は とても小さかったエゾリスたちが
今ではこんなに 大きく育ってくれて とっても嬉しいです。

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仔リスたちは 「 仔リス 」 を卒業して、
「 エゾリス 」 になりました。
そして、それと同時に 少し寂しいですが
私も エゾリスの子育てを卒業しました。


この記事のURL2008-05-28 20:51:32

2008523(金)

「 便利さ 」 について


今回は、わがままな 「 ひとりごと 」 の中でも、
異様に長くて、とっても変わった話をしたいと思います。

話の中に 動物は1種類しかでてきません。
どんな話しかと言うと 「 便利さ 」 についてです。

最後まで読んでいただける方が はたしているでしょうか・・・


皆さんの身の回りには、いくつ 「 便利なもの 」 があるでしょうか?


私は、自動車に 毎日のように乗り、携帯電話も使います、
飛行機にも乗ったことがありますし、パソコンも使います。
ですが、これらを使っていても 最近は 「 便利だ 」 とは あまり感じません。

目の前になくて 「 困った 」 とは よく感じますが・・・


みなさんは どうでしょうか?

毎日、飛行機が飛んでいることや、
当たり前のように 携帯電話で簡単に話ができることを
「 便利だ 」 と、日々の中で感じているでしょうか?


使い始めた 最初の頃は 「 便利さ 」 を感じても、
慣れてしまうと あまり 「 便利さ 」 を感じないのではないでしょうか?


私たち人間は 昔から「 便利のもの 」 を作り続けているにもかかわらず、
その 「 便利さ 」 を普段は あまり感じないでいます。

「 便利さ 」 を感じない理由はなぜでしょう

それは、飛行機は 空を飛ぶため、
携帯電話は コミュニケーションを素早くするため、
自動車は 移動をすばやくするため そんな理由のために作られます。

ですが、野性的な見方をすると、
便利な道具を作り続ける理由の根本には・・
「 自分が 強くなるため 」
「 自分が 他より勝るため 」
「 自分が 生き残るため 」 という、
動物的な理由が存在するからではないでしょうか


     - - - - - - - - - - - - - -


「 自然界は 弱肉強食、弱いものは生き残れない 厳しい世界」と、
 よくいいますが、
結局、私たち人間の世界も 強くなるため、勝つために努力を続けます。

自然の厳しさとは少し違いますが、
『 弱肉強食 』 は 私たちにも当てはまっているのだと感じます。

私たちは 幸せになるために、今より新しいものを
今よりも 強力で、速くて、簡単で・・
そんな便利なものを作り続けて、、

でも、

どんなに便利な道具でも、
慣れてしまうと 「 不便さ 」 を感じ、
全員が持てば 「 当たり前 」
そして、結局・・
便利なものが無いときに感じる「 不便さ 」 だけがはっきりと残ります。


昔からみると 私たちは はるかに進歩しているといえますが、
私たちの 『 幸せ 』 は それと同じだけ進歩しているといえるでしょうか?


これを見ている みなさんは 「 今、幸せですか? 」


この質問の答えを出すことは きっと簡単ではないと思いますが、
10年前、100年前、1000年前、、
いつの時代に 同じ質問をしても、、きっと
その 「 答え 」 は 文明の進歩ほどは 変わっていないのだと思います。

幸せになるために作り続ける 「 便利さ 」 が、
直接 「 幸せ 」 とは繋がっていないばかりか、
幸せになるために作り続けてきた 「 便利さ 」 に、
今は、逆に支配されているような気がしませんか?


    - - - - - - - - - - - - - - -


ここで、今回の お話の中に唯一出てくる動物、
私たち 『 ヒト 』 です。

中には 「 人間が動物?? 」 と思われる方もいると思います。

ですが、動物園の飼育係として、動物達とかかわっていけばいくほど、
私は、「 人間も動物なんだな 」 と感じてきました。

そう感じた理由のひとつは、身体的なことで、
また、別の理由のひとつが、結局 現在も
『 弱肉強食 』 の自然の原則の中から抜け出せていないところです。

経済的に強い国が裕福だったり、強い企業が生き残ったり、
能力のある人が より豊かな暮らしができる社会であったり、
世界的に裕福な国、日本にいても 「 弱肉強食 」 は変わりません。


ですが、その 「 弱肉強食の社会 」 が悪い、というわけではありません。

「 弱肉強食 」 の裏には、「 人間的な欲 」「 人間的な思考 」 などなど・・
様々な理由があって、それを完全に失うと
大切な人間性まで失くしてしまうかもしれません。

ただ、できるだけ多くの人たちに感じてほしいのです、

私たちは 「 完璧ではない 」 ということを。


地上でもっとも 繁栄した種であるといえる私たちは、
地上でもっとも 自然を破壊して、
地上に動物たちが住みにくくしている種でもあります。

今日も 便利なものを作り続けている私たちは
今まで以上に 便利なもので、どうなりたいのでしょうか?
幸せになれるのでしょうか?
何かと競い合い、勝ち続けるためでしょうか?


地上で 最も賢いはずの 私たち 「 ヒト 」 は、
森を壊して 畑を作り、家を作り、ビルを作り、自然と 環境を破壊して、
次は 「 環境を守らなきゃ 」 とあてている。

今から 「 便利なもの 」 の競い合いをやめて、
人らしく 幸せになる方法を
世界中の みんなで考えることはできないのでしょうか?


私は飼育係なので、自然環境や、野生動物たちが心配で、
このようなことをよく考えてしまいます。

最初は野生動物たちが幸せに暮らせるかが心配でしたが、
最近は、私たち人間の未来も心配になってきました。


この状況を改善できるような、
とっても とっても 便利なものがこれからできるのなら
未来の問題も、環境の問題も解決できるのですが・・

私にはどうも とっても便利なものが完成する前に、
今まで以上に大変なことが 起こるような気がしてしまうのです。


この記事のURL2008-05-23 18:31:07

2008521(水)

メリー、、、 お疲れさまでした。


メリー、、、 お疲れさまでした。

新聞などで もう知っている方もいるかもしれませんが、
5月15日の夜、シマウマの 『 メリー(かあさん)』 が、
亡くなってしまいました。


『 メリー 』は、1982年 2月 23日生まれの 26歳、
シマウマとしては、天寿をまっとうした と言えるのではないでしょうか。


3歳になった 1985年 4月 20日に
おびひろ動物園へときてくれました。

そして、たくさんの子供を産んで、
おびひろ動物園に たくさんの 喜びと、感動を生み出してくれました。


下の写真は、おそらくシャンティーが生まれて、
少したった後のものだと思われます。

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古い写真を整理してくれた、イエローのおかげで載せられました。


そして、少し前の写真とくらべてみると・・・

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やっぱり、親子は仲良し でした。

夕方、エサが置いてある寝室の中に入るため、
飼育係の気配を察知して、
2頭が扉の前に集まってくるのですが、
扉が開いて中に入るのは、まず お母さんの メリーから。

そんな光景も もう見られなくなってしまいました・・・


『 メリー 』 には、長い間、おびひろ動物園にいてくれて、
「 ありがとう 」 と 「 お疲れさま 」 の気持ちでいっぱいです。

でも、もう仲の良いシマウマの親子の姿が見られないかと思うと、、、
とても寂しくなります


この記事のURL2008-05-21 15:10:20

2008516(金)

ラクダの へん顔


ラクダの へん顔

題名そのまま、ラクダの 「 ボス 」 の へん顔です。

いつもの 気の抜けた感じに加えて、
顔にくっついた わら(乾草) が最高です!!


続いて、、

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シベリアトラの 「 ストロング 」 の へん顔・・・

というか、、 顔が怪我してる・・・

それを見ている、私の顔が「へん顔」になっていた、、という お話です。


つづいて、最近はやりの、
エゾリスたち。

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くっついて、寝たいのはわかるけど、油断しすぎで、
落っこちそうです。

まだ、子供だからでしょうか。

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     --------------------


私は、ひねくれ者なので、
基本的に あまり 「 かわいい動物の写真 」 は使いたくないのですが、

でも、好きなんです。

 「 かわいい動物 」


あまり使いたくないのは、
おびひろ動物園の飼育係として、
見ている人に 動物を勘違させたくない、という思いからなのですが、

たまに、その反動がくるんです!!


ただ、いつも ひねくれている私も、
動物園がどのように「 可愛い動物の写真 」を使っても、
その使う方向性さえ 間違っていなければ、
なにも 問題はないのだと思っています。

動物園にいる動物達は・・
自然保護を より推進していくためのための

『 タレント 』 でもあるのですから。

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この記事のURL2008-05-16 15:18:34

2008514(水)

まるで 仔ヒツジのように


まるで 仔ヒツジのように

歌の題名のような タイトルでスタートしましたが、
ただの 「 ヒツジの毛がり 」 です。

この 『 ただの ヒツジの毛がり 』 が、実は 大変なのです!!

テレビなどで見る「ヒツジの毛がり」は、
ひとりの人が、数分で一頭を仕上げてしまうのですが、

私たちの場合は、大勢でヒツジが動かないよう押さえて、
そして、恐る恐るバリカンで刈り上げていきます。

私たちが「毛がり」に慣れていないのが 悪いのですが・・・
「ヒツジの毛がり」は、私たちにとって 一年に1度の大仕事なのです!


まず最初は 「 おかん 」 から。

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「 バリバリ バリバリ 」 と、
電動のバリカンで 長い毛を刈っていきます。


外側から見ると とても可哀想に見えますが、
動かれて怪我をさせてしまうより、この方が安全なのです。

ヒツジを 地面に押しつけては苦しませるので、
押し付けないように、動きだけ押さえる・・

ヒツジが怪我をしないように 一生懸命です。

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そして、、

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まずは 「 おかん 」 の出来上がりです!!


最初の写真と同じように まるで 生まれたての仔ヒツジ です。

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毛を刈る前は、こんな感じでした。

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続いて 「 もここ 」 の番です。

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こちらも 「 バリバリ バリバリ 」 と バリカンが活躍します!


毛の外側は色が付いていますが、
刈った毛の内側は、こんなにも白くて フワフワな感じです。

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そして、、

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「 もここ 」 も出来上がりです!!


毛を刈る前と比べると、こんなにも違います。

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見た目だけは、まるで別の動物みたいですよね。


毛を刈っている映像が、私たちの未熟さのせいで
とても可哀想に見えてしまいますが・・

このモコモコとした毛を そのままにしておくと、
ヒツジたちは、これからの暑さでまいってしまうのです。



外の広場に屋根を つけてもらって、

ひと回りも、ふた回りも 小さく見えるヒツジたちは、

今日も元気に 大空にしたで 気持ちよさそうに過ごしていました。

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この記事のURL2008-05-14 17:56:41

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