201246(金)

徹底した排除の後に


徹底した排除の後に

 福岡県の動物管理センターには、一般の動物棟とは別に子犬舎があります。



不要として飼い主が持ち込んだ子犬のうち、生後二、三ヶ月の雄で、見た目がかわいい中型犬という条件を備えているものを選んで、予防注射や病気治療を行いながら飼育しているのだ。子犬は月に一、二回開かれる譲渡会で、希望する一般家庭にもらわれていく。



「すべて救えればいいですが、成長後、その犬や産んだ子が不要犬や捨て犬として戻ってきたら意味がないですから」
 子犬を選別する条件も「現実」との兼ね合いの中で導き出されたものなのである。



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 Fさんのセンターでは、譲渡会の子犬と模範犬として飼育している四匹の成犬を保育園や幼稚園に派遣する「ふれあい教室」を、2000年七月から始めた。



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マンションなどの集合住宅で暮らし、犬を飼えない子供たちに犬との付き合い方を教え、いのちについて考えさせるのが狙いだ。教室では、子犬の心臓の音を聴診器で聴いてみる、仕種や表情から犬の感情を読み取る方法などを教える。教室は好評で、派遣要請は相次いでいる。


 このセンターにかつて、ある動物愛護家が処分前の犬をもらい受けに通ってきた時期がある。しかしあまりの多さに、やがて音を上げた。「動物の顔を見ると助けたくなるから、もう来ないようにします」そう言ってその人は訪ねて来なくなったという。




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安楽死処分を行いながら、
その現実の中で「生」をはぐくんでいる人々と、
現実から目をそらし、
「優しさ」の中に安住している我々と、真に讃えられるべきは果たしてどちらだろうか。

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 センターの運営を県から任せられている会社の社長が何気なく漏らした言葉が耳によみがえる。

 「二、三日前にラジオでこんなことを言っていた。ある家で年寄が死んだ時、その孫が言った。



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『わっ、汚い』

そういうことが今、現実にありえる」


 我々は快適さのために、身の周りからから汚いもの、臭いもの、イメージの悪いものを排除してきた。その最右翼が「死」だ。


そして本物の「死」を徹底的に遠ざける一方で、
メディアが提供する


無色無臭の「バーチャルの死」と
ばかり親しんできた。


その結果、ついに心の痛みまで感じられなくなりつつあるのではないか。


 「死」を見つめることで、哀れや人の痛みを知る。
そういうことは確かにある。


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