庭縁雑感(15)


2007822(水)

街路樹の話


剪定という名のもとにブッツりと切られ佇む街路樹などを見る機会も多いかと思います。
息も絶え絶え、なんとか生きている瀕死の状態の木やすでにその剪定が明らかな原因で枯れてしまった木も多い。
何よりもそれは切ない景色として目に焼き付いてしまう。

なぜ街路樹を植えるのか。
そんな疑問に行き当たってしまう。

その前に、なぜそのような状況になるのかを考える。

剪定は木が伸びすぎて通行の支障になったり、込みすぎて害虫や病気の発生の原因になったり、台風時期前に強風による影響を最小限に抑えたり、落葉による民地や通行の障害にならないようにという配慮だったり多岐にわたる。

本来最大の目的は、通りの美観形成のために下枝の高さを揃えたり形状を一律になるように整える事にあると思うのだが。

しかし、現状は近隣住民からの苦情対応、冬期間の造園作業員の雇用対策が主になっている。(十勝の場合に限定して)
もちろんそれは悪い事ではない。

しかし、実際に作業に入ると「葉っぱが落ちて掃除が大変だ。いらないから根元から切ってくれ」とお叱りを受ける事が多々ある。業者は当然伐採するわけにはいかないから小さく小さく枝を切り詰めてしまう。
そうして見るも無惨な街路樹が出来上がる。
その繰り返し。木は当然弱っていく。

樹木が何故枯れるかご存じだろうか。
これにも色々な要因があるが、剪定要因に絞って言えば、切り口からの腐朽菌の侵入による腐朽枯死と強剪定による光合成不足などの弊害だ。自然枯死はほとんど無い。すべては人為によるものと言ってもいい。
太い枝を幹際から落として何の手立てもしない。
明らかにバランスを欠いた強度な剪定により衰弱を余儀なくされる。

最近目にする機会の多い光景がある。
苦情など入る場所ではない。上に電線も走っていない。
だけどなぜか極端な剪定とはもはや呼べない枝切りが平然とその通り全部の木にたいして施された景色。
殺そうとしているとしか考えられない。
なぜなのか。
同じ造園業を糧とする者の仕業ではない事を祈らずにはいられない。

ビジョンが無いのだと思う。
計画する側の行政も、それを植える業者も、管理する業者も。
この通りは10年後には、20年後にはこうなる。こうしたいから
この樹種をこの間隔で植えるというビジョンが。
そのビジョンがあって初めて近隣住民にも協力を願える。業者もそれに沿って管理をしていくというビジョンが。

道路の両サイドで違う樹種の街路樹が植えられる。
明らかに不自然に通りの途中から樹種が変わる。
本来のその樹種の樹形ではない形で維持しなければそこに収まらずに、放置したら交通に障害を来して抜かれてしまう。
植えて数年後にはほとんどの木が枯れたままになっている。

すべてにその場限りの、誰も責任を負わない体制のツケが樹木に回ってきている。
そうして誰も街路樹に興味を持たなくなり、邪魔者でしか無くなる。

もう一度、街路樹は何故植えるのか。なぜ必要なのかを考えてほしい。

植わさっていればそれでいいのではない。
そこには意味があり、ストーリーがあって、住民はみんなそれを知っていて愛している。
全国にはそんな街路樹が至る所にあるのです。

十勝は街路樹の整備率は全道でも高い方なんです。
だけど当然それだけではだめだと思います。
その「質」も高くなくては意味がない。

もう一度。通りを眺めて欲しい。
街路樹達の悲鳴が聞こえてきませんか?


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2007719(木)

「自然に学ぶ」の心


以前、環境調査の仕事をしていた頃ですが、河川の調査が主なフィールドだったものですから河畔林には頻繁に立ち入っていました。釣り人さえも入らないような場所も多かったものですから印象に残る景観に幾度となく出会う機会にも恵まれました。

どの川にも自然林が残っていたわけではありませんが、どんな川であれ何らかのメッセージを伝えてくれていたような気がします。

いわゆる三面張りの護岸が施された排水路のような景観に変えられてしまった川でも、その連結ブロックの隙間から生えるヤナギはたくましく生存の気迫を感じさせてくれます。

地際でくびれた幹は今にも折れそうな感じに見えますが、河川の氾濫などでそこに泥が被ればまたそこから根を張って生存の可能性を広げます。

そんなヤナギがたくさん集まれば、その根元に土砂を溜め込んで自分たちの生きる場所を創出し、次世代に命のバトンをつなぎます。

そして、その地盤が安定するとヤナギは姿を消してケヤマハンノキやドロノキなどに置き換わり、やがてハルニレやミズナラなどの寿命の長い樹種に変わっていきます。

それぞれの段階でそれぞれの樹種が理由があってそこに存在するのです。そこに依存する生物たちも変化していくというわけです。

私たちが見て豊かだと思える自然というのは、各段階の植生や生物相がパッチワークのように入り組んで構成されている多様な環境であると思います。

単一の構成種で形成される美もあるとは思いますが、豊かさとはまた違ったものだと思います。

モミジは多くの人が美しいと感じると思いますが、世の中モミジだけだったら恐らく美しいとは感じないのではないでしょうか。

また、モミジを枯らしてしまう病気や虫が大発生したらと考えると、一変に地球は滅んでしまうのではないでしょうか。



こんな田舎でも中央の大きなスーパーなどが台頭して地元の小さな商店はどんどん姿を消しています。

大きな都市に行っても小さな地元の村に行っても、同じ看板ばかりが目に付いて地域性がどんどん失われてしまっているように感じます。

もしも、これらのお店が「儲からないからやめた!」と言って撤退してしまったらどうなるのでしょうか。
便利さという代償に失うものの大きさが危惧されます。



自然環境も失われてからでは遅い事を感じさせてくれるのが「主(ぬし)」の存在です。

手付かずの河畔林を歩くと必ずと言っていいほどそこの「主」に出会えます。

神々しく鎮座するその姿には威厳があり、人が近づくのを拒んでいるようで立ちすくむことがままあります。

ちょっとずつ見上げながら「すごいなお前、何年生きてるのよ。」などと話しかけながら近づきます。

必ず抱きついて頬擦りしてみます。そして「がんばれよ。俺も頑張るから。」と言って別れます。

今もそれらの木々たちはそこにあるのだろうかと思うことがあります。

何度も悲しい光景に出会った事があるものだからそう思ってしまいます。

人間が人間を殺す権利が無いのに、なぜこの木を切る権利があるのだろうかとも思います。

大きいからだめで小さいからいいのか、という声もありましょうが、その何百年は一度絶ったらもとには戻せませんし。

職業柄たくさんの木を枯らしてきたのも事実ですから、せめて感謝の気持ちは忘れないようにと肝に銘じます。



2007228(水)

「土について考える」の心 その2


以前、林の中の土壌調査をさせてもらう機会がありました。どこも見るからに豊かな樹種構成で十勝を代表する植生が見られる場所でした。

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(A)は上帯広の畑脇の残置林でハルニレなどの巨木が残りエゾモモンガが棲むやや湿性の林.


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(B)は市内の段丘上のカシワなどが生える比較的乾いた林でやはりここにもエゾモモンガが棲んでいました。


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(C)は新得町の山から近い河畔林につながる深い林で、ハルニレやイヌエンジュなどが生え樹種構成的には一番豊な箇所で、下を流れる川にはオショロコマがいました。

3箇所共、落ち葉が堆積して踏み入るとフカフカな林床で分解されていない落ち葉の厚さは3~6cm程度です。
その下が腐葉土と呼ばれ栄養分を多く含み同時に空気や水分が保持できるように適度な空隙を持った土壌で厚さは思いの外薄く20~30cm 程度でした。
その下は場所によって様々ですが、十勝平野は古くから十勝岳や樽前山の噴火の影響を受けていますので火山灰層が挟まっていたりして年代が想定できたりして楽しいものです。
また、(A)は河川氾濫の影響があったようで砂の層も見受けられました。
掘り進むと心土とよばれる固い層に当たりますが、(A)は粘土でそこまでの深さは50~70cm.(B)は砂利でそこまでの深さは60~90cm.(C)も砂利でそこまでの深さは50~60cmでした。

さて、ここからが本題です。
知りたいのは、木の根はどの深さまで伸びているのか?そしてその部分の土壌にはどれくらいの栄養分が含まれているのか?です。

[答え]樹木の根の深さは地表から50cn以内。深くても60cm程度であった。周辺に生えてたハルニレの高さは18m程度でカシワは15m程度です。(以前札内川下流でハルニレの高さ10~13mの木を数本移植した事がありますが、礫質土壌だったこともあり根の厚さは20~30cm程度と驚きの薄さでした。)
そして栄養分ですが、3箇所共土壌の化学分析を行いましたが、植栽に適した土壌の役所の基準となる数値を栄養素の部分の多くの項目で下回ったのです。私は軽く上回るものだと思ってました。見た目は最高の土ですから。何よりもそれは周辺の十勝を代表する林相が健全に成育している様を見れば明らかです。

[結論]植栽をする場合の有効土壌厚は50cmから多くても60cmあれば良いと考えられる。ただし、その下の透水性などは植栽する樹種、あるいは目的とする植生で考慮する事が望ましい。
その土壌は黒土単一では無く通気性・保水性を確保できるように改良して将来的に締め固まらないようにする。(具体的な土壌についてはまたの機会に)表層はマルチングをして植生基盤の環境安定を図る。在来の草本類の植生が再現できればベスト。

[注意!]植栽基盤となる土壌は面的なつながりを大切にするほうが深さよりも重要であるということ。
十勝はその土壌の成り立ちから、薄く広く根を張る樹種がその大半を占めるという事。根が浅いと強風などにより影響を受けやすいので、成長に伴いしっかりとした根が張れるスペースの確保が重要と言える。
また、植樹の間隔にしても、狭すぎると十分に根が張れないので将来的な樹形などを考慮して決めたほうが良い。
自然樹形で育てるならば10mは必要(高木の場合)。

[思い]できれば樹木は苗木で植えるほうがその土地の環境に馴染みますのでお勧めです。街路樹や公園樹も同じなんですが。枯木が目立ちます。成長を見守る「スロウ」な心持ちでいきたいものです。
何よりもここ十勝は、見本となる自然がすぐそこにあります。
自然はすべてが理にかなっています。草木、コケ、枯れ木や昆虫にいたるまで無駄な物はなにひとつありません。
普段の生活の中においても参考となるべきものがほとんど含まれていると私は考えています。

もっともっと学ばねばと思います。

※ここに書かれたものは3箇所16地点の調査結果とこれまでの経験に基づいたものですので、すべてのケースにあてはまらない場合がある事をご了承下さい。



20061026(木)

「土について考える」の心


土は大切です。つくづく思います。植栽された植物の将来を左右する土壌、必要の無い土壌などのあれこれについてです。

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さてお庭を造りましょうと現場を見ると、そのほとんどは住宅基礎を掘った残りの土で埋め戻されている事が多く、そのままでは何もできない場合が多いのです。庭に興味のある施主様の場合、「黒土」を入れておく事を条件にされている場合も見られます。

前者の[掘削残土]の場合、庭を造る時に結局はまた削って捨てますのでお金が発生します。単に化粧砂利を敷く場合でも最低5cmは削りますし、レンガや舗装の場合は50cm程度掘って捨てる事になります。少なくて2~3万、多い場合は敷地の整正も含めて10万円以上もかかるケースもあります。
これは、住宅の計画と同時にどのような外構にするのかという計画を立てておく事でそのロスを防げますし、場合によっては建築時にサービスで基礎砂利を入れさせるなどでかなり得をするケースがあります。

後者のあらかじめ[黒土]を入れておく場合ですが、そこで何をするかによって入れる厚さも変わって来ます。芝生で最低20cm,菜園で最低30cmが目安ですが、その下の基盤の排水性や敷地外の環境が重要になります。雑感(1)でも触れましたが、周りから水が集まってくるような立地ではその作り方が変わってきます。いままでの経験ではその多くは作り直しがほとんどでした。ここでもアバウトでも計画性があればロスは防げるのですが..。

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さて、本題の庭土についてですが、[黒土]=[いい土]とお考えの方も多いと思いますが果たしてそうなのでしょうか?
黒土はそのほとんどが業者の方が農地の土や原野の表土を集めて何度も振いにかけて砂利などの不純物を取り除いた文字通り真っ黒な土の事をそう呼んで流通しています(一部袋詰めは当てはまらない)。この黒土は大量に公共事業で使われるために決められた基準値を下回らない品質を保っています。
この見た目最強の黒土の問題点は、年月の経過とともに締め固まってしまう事です。これは粒の大きさ(粒径)が揃っているためにそうなりますが、より粒径の細かな粘質土では顕著です。このように土が固くなると植物は育ちづらくなり成長障害を起こしたり、最悪は枯死します。

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植物の成長にとっての良い土の条件は、土の中に適度に「水」と「空気」を含んでいる事です。抽象的ですが適度にふかふかな状態とでも言いますか。
農地である畑は毎年耕して肥料もあげます。樹木が植えてある庭の場合は耕すわけにはいきませんね。そういった意味で黒土は「菜園」には適しても「植栽基盤」としての土壌には単体では適さないという事になります。

長くなりましたので続きは次回にします。



20061021(土)

「庭をつくる前に考える」心


「庭をつくる前に考える」心

冬の間に住宅を計画して来年度に新居を建築される方も多いと思いますが、造園屋からの視点で思う事がありますので参考にしてみて下さい。

新築は一生に何度もできるものではないので後悔しないようにと思うものです。建築屋さんも一生懸命に考えてくれているはずです。しかし、現実にいざ庭を造ろうとした時にたくさんの不都合が生じる事があります。そのような経験をされた方も多いと思います。

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造園屋の仕事は建物以外のすべての外構に及びます。いわゆる「庭園」の他、門扉・アプローチ・カーポート・物置・ウッドデッキ等々多岐に渡るわけですが、よくある不都合の代表は『高さ』のトラブルです。
わかりやすい例として玄関ポーチから舗道までアプローチを作ってほしいが傾斜が急で冬が不安である。とか、ウッドデッキをつくりたかったのだが出口が高くて不便である。などがあります。
致命的とまではいきませんが、回りの土地の水が自分の庭に全部集まってくる。などというケースもありました。庭の高さを上げれば解決するのですが住宅が不自然に低く設定されている場合、別の手段を考えねばならず余計なお金がかかってしまう事にもなりまねません。

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このようなトラブルを極力無くすには、まず自分の思い描く庭の形を想定する事。つまり、どのように庭を使いたいのか、どんなライフスタイルなのかを住宅の計画と平行して当てはめてみる事が大切だと思います。
具体的には、「焼き肉をしたい」「子供を芝生であそばせたい」「デッキで一杯やりたい」「物干しはどこにするのか」「朝早い仕事なので雪かきができない」「趣味によっては物置の位置が重要になる」「来客が多いので駐車スペースは何台分欲しい」「風が強い場所なのか」「共稼ぎなのであまり手をかけられない」「虫が嫌い」「花粉アレルギーがある」「鳥を呼びたい」など具体的な形は思いつかなくても、したい事、自分のライフサイクルなどはわかると思います。
その中で建築屋さんと打ち合わせする事で家の形にまで影響する事があると思います。もちろんご相談いただければ造園屋としてのアドバイスもしています。
建て売りの場合も外見や内部の作りばかりでなく、そうした視点からも眺めてみると参考になるのかなと思います。



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