まかない(843)

今日のまかないは麻婆豆腐です。
麻婆と言ったらあさばあ。。
麻(マー)ばあさんが作った豆腐料理です。

お店を選ぶ際には舌に合うか合わないかでという要素以外にも、雰囲気とか使いやすさとか価格という要素もあるかと思います。
一方、どこかで意外性や発見を求めてもいます。
それまで知らなかった味に喜んだり、作り手の意図を知って初めて理解したり、食べるということに知的な楽しみを感じることもあります。
十勝においては、それをお店側がどの程度提供できているのかという疑問があります。

また、現在の帯広市が標榜するフードバレーという言葉が食文化と食産業に対してどの程度なのか。
平たく言えば地産地消を含めた十勝の豊かな食材を生かした調理やグルメや食育の推進か、または肥沃な大地と生産者に支えられた食料生産を武器にした経済的発展という方向なのかはわかりませんが、現状はそういったことが十分推進、または認知されているとは言えないようです。
十勝外のチェーン店、フランチャイズ店と地元店の状況もフードバレーというイメージとは一致していないように思います。

またそれらを受ける消費者側の味、価格、量、便利さという点以外の、安心や安全、食材そのものへの理解や関心という視点にも疑問を感じます。
自分が何を食べているのか、誰がどんな意図で作っているのか、食産業をどこまで信頼し自分や家族の体づくりや健康に関わる食を預けるのか。
それとは別に、地元経済的な観点からも食に使ったお金がどこに行くのか。外なのか内なのか。

ご縁があってここでお世話になるようになり、うまいまずい好き嫌いだけではなくそんなことも考えるようにもなりました。

麻婆豆腐一つとっても豆腐の風味や豆板醤の香り、豆腐やネギの甘み、豆腐に味がしみているかどうか。
豆腐とひき肉と餡のバランス。
そもそも何を食べる料理なのか。
麻婆豆腐は、漠然とひき肉たっぷりのおいしい味のついた餡になんとなく豆腐が入った料理、そう思っていた自分が目が覚めた思いをした料理のひとつです。

今日のまかないはお手頃な魚肉ソーセージを使った和風丼と天ぷらです。
このどんぶりの素朴感はなかなかないものだと思います。

たまねぎの甘みを感じる濃くはない味付けに、三つ葉とセリの香りがさわやかです。
魚肉ソーセージの旨味を他の素材たちがわっしょいしているどんぶり。主役はしっかりと魚肉ソーセージです。
「これが好き。3本入りとかの。」というマスターの魚肉ソーセージ愛がしっかりと伝わってきます。

今日のまかないはラーメンです。
ベースが正油ダレとスープだけの単純なラーメンです。

嗜好性と個性のバランスは難しいなーと思います。

今日のまかないは煮豚と野菜の炒め物です。
勉強がてら作った煮豚がマスターの手によって別の一品へと生まれ変わりました。

不出来な煮豚、実はトンポーローの失敗作なのですが、これの柔らかさと八角やその他スパイスの香りが炒め物全体を包んでいます。
完全に火が通った鷹の爪の香ばしさがたまりません。まるでものすごく辛いスナック菓子のようです。
その香りがいいアクセントになっています。
甘辛い味付けと相まって最高の一品となり、煮豚も浮かばれたというものです。合掌。

今日のまかないはジンギスカンとラーメンです。
実に北海道らしいもの同士ですが、一つの視界に収まることはあまりないかもしれない組み合わせです。

初めて食べました紫白菜。
食べてもややしばらくジンギスカンと気づかないほどその色に味覚が引っ張られます。
紫色の色素であるアントシアニンはブルーベリーなどで知られているポリフェノールの一種です。
目にいいとか抗酸化作用だとかがん予防、肝機能改善作用もあるとか。
味に異常をきたすことなく、その見た目に反して実に素晴らしい食材のようです。
音更では紫色のカリフラワーを作っている農家さんもいるようです。

ラーメンは蒸した麺なのでコシがすごいです。
正直、食感はゴムです。
いっその事、まんぷくラーメンのようにスープをかけて陰干しして油で揚げてみたら面白そうだなーと思いました。
もしお湯で元にもど戻ったとしてもゴムでしょうけれど。